「無法地帯の都知事選」"悪用する者"多発の必然 今回の選挙で"制度の穴"が浮き彫りになった
東洋経済オンライン / 2024年6月24日 9時0分
7月7日に投開票される東京都知事選がやりたい放題だ。
【画像】悪びれる様子もなく、自身のポスターが掲示板をジャックすることを発表した美人格闘家
6月20日に告示された東京都知事選。立候補者は56人と、過去最多だった前回(2020年)の22名を大きく上回っている。事前に用意されたポスター掲示板の枠は48名分で、足りない枠はクリアファイルでポスターを貼るという異例の対応となっている。
選挙ポスターをめぐる“珍事”の発生
さらに、この掲示板を巡って物議を醸すトラブルが生じている。
候補者の一人が、「表現の自由への規制はやめろ」と書かれた“ほぼ全裸”の女性の写真のポスターを掲出した。警視庁は都迷惑防止条例に抵触するとして、ポスターをはがすよう候補者本人に警告。その直後にポスターは撤去されることとなった。
なお、このポスターで掲出されている女性は候補者自身ではなく、アイドル活動をしているモデルである。このトラブルにより、モデルの女性は契約していた別の商品のイメージガールを降板する事態となっている。
これにとどまらず、1つの掲示板に選挙とは無関係の同じ人物や動物などポスターが多数貼られるという事態も起きている。これを行ったのは、24人の候補者を出す「NHKから国民を守る党」(以後「NHK党」と表記)であるが、同政党に寄付した人に対価として掲示枠を提供したという。実質的に、選挙のポスター枠を第三者に転売したことになる。
こうした異例の掲示板活用はSNSで大きな物議を醸しただけでなく、NHKの報道によると、東京都選挙管理委員会には告示翌日の6月21日夕方までに1000件以上の苦情や問い合わせが殺到したという。
【画像】都知事選で「やりたい放題の人たち」を見る(5枚)
有権者の反発を食らうようなことを候補者が選挙活動で行うという事態が起きているのは非常に逆説的だが、ある意味、「現代」という時代を象徴している出来事とも言える。
“言論の自由”が無法状態を生んだ
投票率が低下する中、泡沫候補が乱立、荒唐無稽な主張やパフォーマンスが目立ち、選挙の本来の意義が見えづらくなってきている。
逆に、選挙を狭義の政治活動の場としてではなく、広義のプロパガンダや広告の場として捉えると、別の世界が見えてくる。
立候補に必要な供託金は都道府県知事で300万円である。選挙運動にかかる費用はさらに膨らむが、立候補をするだけなら、供託金を払うだけでよい。
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