子どもの短所を直そうと必死な親がズレている訳 「生まれつきの資質」の存在を見誤っている
東洋経済オンライン / 2024年6月25日 12時0分
仕事がうまくいくはずがありませんし、周囲からの信用を失ってしまいます。仕事を首になって自分や家族が生活できなくなるかもしれません。
ですから、大人になってからのほうが自己改造へのモチベーションが持てるのです。それに、大人のほうが自己改造の能力もあります。子どもより思考力もあり自分で工夫する問題解決力もあります。よい方法を学んだり情報を得たり、必要な物を買ったりすることもできます。子どもにはないものばかりです。そもそも、一番肝心なモチベーションがありません。
「子どものうちなら直る」は迷信
昔から「子どもがだらしがないのは親のせいだ」とか「大人になると直らない。子どものうちなら直る」などと言われてきましたが、これらは集団的勘違いであり迷信だったのです。
ただし、大人になって必要性を感じ「直したい。直さなきゃ」と思ったとき「でも、どうせ自分には無理」と思ってしまうと、やる気スイッチが入らない可能性があります。
例えば、子どものときに「片づけなきゃダメでしょ」「何をやっても遅い」「だらしがないね」「忘れ物ばかりしちゃダメでしょ」などと叱られることが多くて、自己否定感にとらわれてしまっているとそうなる可能性があります。ですから、叱るのをやめて子どもの自己肯定感を育てながら待つことが大事です。
では、子どものしょうがない姿を前にして、親として実際にはどうすればいいのでしょうか?
まず第1に、このように子どものしょうがない部分は生まれつきの資質によるものであることと自己改造へのモチベーションもないことをはっきり認識して、自分を責めたり子どもを叱ったりするのをやめることが大切です。
「親である自分のせい」と自分を責めていると子育てが楽しめませんし、そのストレスで子どもを否定的に叱ることが増えてしまいます。叱られることが多い子は、「こんなダメな自分はお母さんお父さんに大切にされないな。愛してもらえない」と感じる可能性もあります。
これが愛情不足感と言われるものであり、こうなると生きるエネルギーが減退してますますがんばれなくなります。また、親の言葉にも素直に耳をかたむけることができなくなり、必要以上に反発するようにもなります。親子関係が悪化し子どもの気持ちがどんどんすさみます。これが悪循環の始まりです。
また、「ぼくってダメな子だな」「どうせ何をやってもダメだよ」という自己否定感にとらわれてしまい、チャレンジ精神や向上心を失ってがんばれなくなります。先述したように、大人になってからも尾を引いて自己改造の必要性を感じたときも「でも、どうせ自分には無理」と思ってしまう可能性があります。
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