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子どもの短所を直そうと必死な親がズレている訳 「生まれつきの資質」の存在を見誤っている

東洋経済オンライン / 2024年6月25日 12時0分

第2として、うまくいかないことについては否定的に叱るのではなく、工夫することが大事です。そして、工夫には合理的な方法の工夫と言葉の工夫の2つがあります。

まず、合理的な工夫については例えば次のようにします。

A君は毎朝トマトに水をやるのを忘れがちでした。でも、水を入れたペットボトルを枕元において寝るようにしたら忘れなくなりました。

また、B君は学校から体育着を持ち帰るのを忘れがちでした。でも、ランドセルの蓋の内側に「体育着」と書いた付箋紙を貼るようにしたら忘れなくなりました。

C君は宿題に取りかかるのが遅くて叱られていました。でも、学校から帰ってきて宿題を1問だけやってから遊ぶことにしたら、取りかかれるようになりました。

以下、羅列的に紹介します。片づけが苦手ならワンタッチ収納やラベリングなどの工夫。忘れ物が多いなら持ち物コーナーの設置や親の最終確認の励行。やるべきタスクがテキパキこなせないならお支度ボード。イヤなことを後回しにするなら家庭内時間割。時間にルーズなら模擬時計。

次に言葉の工夫です。とにかく大事なのは子どもを責める要素を入れないで伝えることです。

○○するといいよ。先に○○すると後で楽だよ。先に○○する?それとも遊んでから○○する?さあ、○○しよう。パパと競争だ。何秒でできるかな?用意ドン。○○してくれるとうれしい。○○してくれてありがとう。がんばってるね。などです。

親子関係と自己肯定感をひたすら大切に

ただし、工夫をしても簡単には直らないことが多いのはここまで書いたとおりです。そういうときは、手伝ったりやってあげたりしましょう。しかも、叱りながらでなく明るく楽しく、子どもとの触れ合いのひとつとしてエンジョイしながらです。こういう実際的な方法で乗り越えてきた親子は星の数ほどたくさんいます。

「子どもができないことを手伝ったりやってあげたりしていると、いつまでも自分でできない。それは自立の妨げだ」などといっておどす人がいますが、それも迷信です。親子関係をよくしながら子どもの自己肯定感を育てていけば、その子のペースでやがてしっかり自立します。

できないことをいつまでも叱り続けて、親子関係を悪くしたり子どもの自己肯定感を損なったりしているほうが、よっぽど子どもの自立の妨げになります。

最後にまとめです。子どもの短所や苦手は親のせいではなく生まれつきです。自己改造へのモチベーションもないので子どものうちには直りません。大人になってからのほうが直る可能性があります。叱るのではなく、合理的な方法と言葉の工夫をして、それでも無理なら手伝ったりやってあげたりしましょう。

子どものときに短所を直そうと無理するのはやめましょう。諦めが肝心です。人生も子育ても諦めることで道が開けることもあります。そして、親子ともども毎日明るく楽しく幸せに暮らして、親子関係と自己肯定感をひたすら大切にしましょう。そうすれば、やがてしっかり自立します。

親野 智可等:教育評論家

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