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「怠けられる」人が勤勉な人より成功する納得理由 「怠惰」のおかげで誕生したミュージカルもある

東洋経済オンライン / 2024年6月26日 17時0分

情報があふれ、連絡やタスクに追われる毎日。私たちは「何も考えない時間」を意識して持ったほうがよさそうです(写真:takumi taniguchi / PIXTA)

便利な世の中を生きているのに、どうしてこんなにも疲れている人が多いのだろう。そのような中、現代は「働きすぎの時代」だと警鐘を鳴らし、「そんなに働かなくていい」と言うのはアメリカの社会心理学者、デヴォン・プライス氏。むしろ「立ち止まること」や「何もしない」怠惰な時間こそが大事だというのはなぜなのか。氏の著書『「怠惰」なんて存在しない 終わりなき生産性競争から抜け出すための幸福論』から一部を抜粋、再編集してお届けする。

本記事は3回シリーズの3回目です。
1回目:多忙な人が気づくべき「怠けてはいけない」のウソ
2回目:「ネットでだらだら」は必要な時間という新視点

何も考えない時間こそが大事

休んで怠惰に過ごせる時間は、自分自身について新発見をしたり、仕事中には思いつかなかった妙案が湧いたりするチャンスだ。

【画像で確認】「怠けちゃダメ!」、それは働き過ぎている現代人の「思い込み」かも

創造性について、心理学の研究者は、今まで気づけなかったことが「あっ!」と瞬時にひらめくことがある現象である「アハ体験」に関心を持ち、どうすれば体験できるのかを熱心に研究してきた。

その結果、怠惰に過ごすのは、非常に効果的なステップだと判明した。

クリエイティビティや発想力は、頑張れば出てくるものではない。何も考えない時間が必要なのだ。

往々にして、良いアイデアは考えていないときにやってくる。シャワー中や散歩中などに、どこからともなくアイデアが降ってきたように感じるが、実は休んでいる間に、私たちの脳は無意識下にアイデアを練っているのだ。

この生産的な休養期間を心理学では「インキュベーション期間(抱卵期)」と呼ぶ。

卵から健康なヒヨコが生まれるには暖かく安全な場所が必要であるように、ユニークなアイデアや視点を生み出すには、脳の創造性を担う部分に、安心、休息、リラックスを与える必要がある。

この説明をするとき、私はいつも『マッドメン』というドラマのあるシーンを思い出す。

広告会社のカリスマ役員、ドン・ドレイパーは、顧客の新製品のキャッチフレーズで苦労している新進気鋭のコピーライター、ペギーにアドバイスを授ける。ドンは創造的なインキュベーションについての考え方を、短く完璧に言い表す。

「深く考えろ。そして忘れろ。アイデアが頭の中に飛び出してくる」

私もそうやってアイデアが頭に湧いてきた経験がある。2013年当時、私は大学院生で、博士論文の研究テーマ決めに悩んでいた。

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