リゲインもほぼ消滅「栄養ドリンク」衰退の背景 若者の心を掴んだエナドリとの"決定的な差"
東洋経済オンライン / 2024年6月26日 13時0分
その代わりに「カフェイン」と「アルギニン」、あるいは「ガラナ」などが添加されている。前者の説明は省かせてもらうが、後者は必須アミノ酸の一種であり、人の体内で生成できないアミノ酸である。代謝をよくする効果があり、この成分が「リフレッシュ」を感じさせてくれるのである(もっとも、エナドリを飲んでアガるのは、主にカフェインによるものだが……)。
勝因は「若者向けマーケティング」
栄養ドリンクとエナドリは、それぞれ違った飲み物だ。しかし、「疲労回復」という面においては、医薬品や医薬部外品のほうが効果はありそうである。それが、なぜエナドリに取って代わってしまったのだろうか? そこには、エナドリ側の「若者向けマーケティング」という戦略があった。
レッドブルが日本に初上陸したのは2005年からだが、当時はさまざまな栄養ドリンクが群雄割拠している時代。そこに、同じく「疲労回復」を謳うレッドブルが入り込む余地はなかった。
そこで、レッドブルはタウリンを抜いて清涼飲料水、つまりジュースとして販売することにした。
それはそれで、レッドオーシャンであるが、レッドブルは栄養ドリンクのいない世界で「アガる」「疲労回復」「カッコいい」というコンセプトを全面的に打ち出し、スポーツイベントや音楽フェスなど、若者が集まる場所でプロモーションをかけていく。
同様に現在、エナドリのシェア2位を誇るモンスターエナジーもタウリンを抜き、若者が集まりやすい場所での地道なサンプリング、そしてエクストリームスポーツなどのスポンサーとなり、「イケてる」飲み物というイメージを打ち出した。
「『アガる』とか『イケてる』とか、なんだかバカな分析だな」と思うことなかれ。エナドリが上陸するまでの日本で、「疲労回復」するには栄養ドリンクしかなかった。
「モーレツ」とは別の、「クール」なイメージ
その一方で、リゲインの「24時間働けますか?」がわかりやすい例だが、栄養ドリンクは「サラリーマン向け」、もっといえば「おじさん向け」の商品だった。
そのなかでエナドリは「クラブで飲むとアガるイケてる飲み物」に「疲労回復」を添加させて、それまで日本人が栄養ドリンクに抱いていた「モーレツ」とは別の、「クール」なイメージをエナドリに抱かせたのである。
これが若者に大当たりした結果、「魔剤」というネットミームが生まれるほど、疲労回復のための飲み物としてのイメージが定着した(ただ、メーカーも予測していなかった小中高生までもが常飲するという問題も発生したりしたのだが)。
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