新NISAで人気の「NTT株」が5月から急落した深層 個人株主は急増も、海外投資家と思惑のズレ?
東洋経済オンライン / 2024年6月26日 8時10分
「現在の株価水準について、皆様の期待に応えられていない点をたいへん厳粛に受け止めている」
6月20日に「グランドプリンスホテル新高輪」(東京都港区)で開かれたNTTの株主総会。同社のCFO(最高財務責任者)を務める廣井孝史副社長は、このように語った。
NTTの株価が目下、大きく下落している。年初に約170円で始まった株価は新NISAブームを追い風に急上昇し、1月下旬に年初来高値の192.9円を記録。その後も3月までは180円程度の高水準を維持していた。
ところが5月10日に2024年度の業績予想を発表して以降、下落傾向に拍車がかかり、足元では150円前後で推移する。6月18日には一時144円をつけ、2年2カ月ぶりの安値水準となった。
1月から新NISAが始まり、株式投資に対する社会的関心が高まる中、初心者向け銘柄の代表格とされるNTT。株価急落の背景に何があるのか。
株式25分割で株主は急増
NTTは2023年7月に1株を25株に分割した。2024年から始まる新NISAを前に、投資単位当たりの金額を引き下げ、個人投資家がNTT株に投資しやすくする狙いがあった。
分割直前の株価だと、1単元(100株)当たりの最低投資金額は40万円ほどだったが、分割後の現在の株価水準だと、1.5万円ほどから購入できる。
NTTの期待どおり、2023年度末の株主は186万人と、前年度末の92万人から倍増した。6月20日の株主総会の出席者も1277人に上り、昨年(502人)の倍以上に増加した。
株式分割を機に株主となり、総会に訪れたという東京都北区の男子大学生(21)は、「株に興味があったが、一口何十万円の株が多く学生だと手が出なかった。そんな時期に安くなったと聞いて買ってみた」と話す。
NTT株は市場で「ディフェンシブな高配当利回り株」(楽天証券経済研究所の窪田真之氏)と評価されている。
社会に不可欠な通信インフラを担う企業であるため、業績が景気動向に左右されにくい。配当利回りも平均より高水準で、プライム市場の単純平均利回りが2.12%(2024年5月現在、東京証券取引所調べ)なのに対し、NTTの利回りは3.44%(6月25日現在)だ。
価格が安く、誰もが知る安定した会社で、配当利回りもよい――。NTT株は、初心者にとって「手を出しやすい」条件がそろった銘柄だといえる。
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