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子どもへの「よかったね」が呪いに変わる瞬間 「言い換え」してもなぜ子どもは変わらないのか

東洋経済オンライン / 2024年6月27日 8時50分

言葉の本来持つ強い力がある一方で、その言葉の意味よりも、その言葉を発している人の感情が伝わってしまうということがあるのです(写真:Ushico/PIXTA)

【質問】

中1、小4、小1と3人の子どもがいます。子どもたちのことで日々イライラする毎日です。子どもたちが自主的に行動するために、どのような言葉かけをすればいいか悩んでいます。これまで、書店で言葉かけの本を何冊も買ったり、SNSで流れてくる「言い換え」などを試したりしていますが、一向に変わりません。どうすれば子どもは変わってくれるのでしょうか。

石川さん(仮名)

言葉が持つ力は非常に大きい

言葉かけはいつでも簡単に実行でき、しかもお金は一切かかりません。実践しやすいというメリットもあり、今や「言い換え」「言葉かけ」は大人気のコンテンツになっています。

筆者も『子育て言い換え事典』(KADOKAWA)、『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』(集英社)という言葉かけに関する本を出しており、これまで35年間子どもたちを直接指導する中で得られた、効果がある言葉かけについて紹介しています。しかし、言葉は単にその言葉の種類に注意すればいいというものではなく、使い方が大切であることも同時に強調しています。単に「〇〇という言葉かけ」で必ず変わるということはありえないからです。

一方で、言葉かけによって人が変わることは確かにあります。言葉が持つ力は非常に大きいものです。例えば、言葉一つで人を元気にさせたり、希望をもたせたりすることもできますが、人を潰すこともできてしまいます。それは音として発する言葉だけでなく、活字として書かれた言葉でも、人を勇気づけることもできますし、人を暗い気持ちにさせることもあります。

なので、どのような言葉を使うかはとても重要になってきます。特に相手がいる場合、単純に情報を伝えるだけであれば、正確さ、的確さを意識していればいいですが、相手の心に訴えかける場合は注意が必要です。心が変わらないと、人は自主的に行動をしないものだからです。

では、先に今回のご質問の結論についてお伝えします。

伝わっているのは言葉ではなく「感情」

「プラスの言葉かけ」「魔法の言葉」「NGワードからOKワードへの言い換え」をしても、子どもに伝わらないのは、その言葉に乗っている“感情”がネガティブだからです。

言葉かけは、その使われた言葉の内容よりも、言葉に乗っている「感情」が伝わっています。

石川さんのケースで言えば、子どもに自主的に行動してもらいたいとき、ある感情が湧き出ているはずです。それは、「どうしてこの子は自分からやらないの!」というイライラの感情です。すると親が発する言葉がどのようなものであれ、その感情が乗った言葉と、親の雰囲気や態度とともに子どもに伝わっていきます。ですから、感情が変わっていないのに、いくら言葉を言い換えたところで、子どもの行動が変わることはありません。

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