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京王井の頭線「渋谷の隣」神泉駅の不思議な風景 トンネルを一瞬だけ出てまた入る駅周辺の地形

東洋経済オンライン / 2024年6月27日 7時30分

神泉駅到着の直前にトンネルから顔を出す京王井の頭線の電車(筆者撮影)

渋谷と吉祥寺という、ともに若者が多く集まる東京のターミナルを結ぶ京王電鉄井の頭線。地上2階にある渋谷駅を出ると、列車はすぐにトンネルに入る。

【写真でわかる】京王井の頭線のターミナル渋谷駅からトンネルを抜けてすぐの神泉駅はユニークな場所にある。白黒写真が物語るかつての貴重な姿も

ところが次の神泉駅の手前で、一瞬だけトンネルを出る。そこには踏切があるぐらいで、地上区間の長さは10mほどしかなく、再びトンネルに入って神泉駅に着く。

ちょっと変わった風景

各駅停車は速度を落としてこの区間を通るので、一部始終をゆっくり眺めることができるが、下北沢駅まで止まらない急行の車窓は、初めて乗る人にとっては不思議な光景に映るだろう。

このちょっと変わった沿線風景は、周辺の地形と関係がある。渋谷は名前のとおり谷の底に駅があり、井の頭線が進む西側には道玄坂があり、坂を登ったあたりは渋谷区円山町だ。円山町の区域はトンネルの出口のあたりまでで、神泉駅は神泉町にある。

【写真】京王井の頭線の都心のターミナル、渋谷駅からトンネルを抜けた1駅隣の神泉駅はユニークな場所にある(8枚)

渋谷区オフィシャルサイトによると、ここには湧水があり、仙人が不老不死の薬を練った霊水であることから、神の泉=神泉という地名になったそうだ。神泉谷という呼び名もあったようで、昔から窪地だった。

なので渋谷駅から急勾配を避けて西を目指すとなると、すぐにトンネルに入り、神泉谷で地上に出て、再びトンネルに入るのは、地形を考えれば納得できることだ。

神泉駅は井の頭線が開通した1933年から存在しているが、渋谷駅からの距離は約500mしかない。渋谷駅を中心とした半径1km以内にある唯一の駅である。井の頭線は全般的に駅間距離は短めだが、ここに駅が設けられたのは、一度地上に出ること、昔から生活の場であったことが大きかったのだろう。

ちなみに井の頭線のトンネルは、神泉駅の東西にあるこの2つのみである。踏切を挟んで渋谷寄りが渋谷トンネル、神泉駅のホームがある側が神泉トンネルと名付けられている。

昔はどんな姿をしていた?

ただし神泉駅は昔から、今のような姿だったわけではない。1990年台中盤までは、ホームの一部が地上に出ており、駅舎は踏切の脇にあった。しかし列車の編成が長くなるにつれて、ホームをトンネル内に延ばしたものの、3両分しか確保することができなかった。

京王電鉄50年史によると、井の頭線の列車は、1961年にそれまでの3両から4両編成になり、翌年ステンレス車の3000系が走りはじめている。渋谷駅側にはすぐに踏切があるので、反対側の駒場東大前駅寄りの先頭車両は、ドアの締め切りで対処していた。

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