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市民ランナーの心とらえる「サブ4の魔力」の正体 「ギリギリ4時間以内」のゴールがもっとも多い

東洋経済オンライン / 2024年6月28日 18時0分

このように、人間はキリのいい数字を基準に、意思決定が変化することがあります。

キリのいい数字を目指すために、自らの行動や判断を調整することがわかっており、このことは「概数効果」として知られています。

スポーツでは記録が重要視されますが、スポーツ選手でも、この概数効果がみられるのでしょうか?

概数効果がみられるのであれば、年間10ゴールを狙うストライカーは、9ゴールのときにラストパスではなくシュートを打ちやすい傾向があるはずです。トッププロの選手にも概数効果がみられるとしたら、それを作戦に組み込むことが可能となります。

本記事では、マラソンを題材に概数効果を検討していきます。

南カリフォルニア大学のアレンらの研究グループは世界中の累計約1000万人のフルマラソンの記録を集め、ヒストグラム(度数分布表)を作成しました[1]。

※外部配信先では図表を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください

ヒストグラムをみると、4時間のところでグラフの高さが大きく異なる崖がみえることがわかります。これは、「ギリギリ4時間以内」の記録が「ギリギリ4時間オーバー」の記録よりも、かなり多いことを示しています。

3時間57分・58分・59分を記録したランナーはそれぞれ10万人ほどいましたが、4時間0分・1分・2分を記録したランナーはそれぞれ7万人ほどしかいませんでした。

この結果から、4時間という基準を境に、ランナーの意思決定(走るペースやスパートの加減)が変わっていることがわかります。

3時間59分と4時間1分は、「4時間から1分違う」という意味では数理的には同価値ですが、ランナーの印象は大きく違うようです。「サブ4(フルマラソンで4時間を切ること)」はランナーの勲章ともいわれ、そうした基準がランナーの意思決定に影響を与えています。

さらにヒストグラムに注目すると、3時間・3時間半・4時間半・5時間といった時間でも、同様の崖ができていることを確認できます。

統計分析をした結果、この崖は15分ごとにできていることが判明しました。つまり、マラソンランナーは均等なタイムでゴールしているわけではなく、15分ごとのキリのいいタイムでゴールしやすいことが判明しました。

「ペースの維持」か「ラストスパート」か

では、サブ4を達成するために、ランナーはどのような作戦(意思決定)を行なっているのでしょうか。アレンたちは追加分析し、ランナーの2つの作戦を示しました。

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