「モノ屋敷の実家を片付け」嫌がる母と攻防の顛末 「絶対に捨てられない母」をどう説得したのか
東洋経済オンライン / 2024年6月29日 13時0分
「早く実家を何とかしたい」
50代の男性は、80代の母親が一人で暮らす実家の状況に長年頭を悩ませていた。明らかに不要なモノでも母は一向に捨てる素振りを見せないのだ。
本連載では、さまざまな事情を抱え「ゴミ屋敷」となってしまった家に暮らす人たちの“孤独”と、片付けの先に見いだした“希望”に焦点をあてる。
ゴミ屋敷の片付け・不用品回収の専門業者「イーブイ」(大阪府)を営み、YouTube「イーブイ片付けチャンネル」で多くの事例を配信する二見文直社長(以下、二見氏)が、生前整理における片付けの難しさと大切さの両側面を語った。
動画:息子「早く実家を何とかしたい」片付けを決意するたびに延期
2階全体が物置になってしまった
母親が一人で暮らす2階建ての一軒家。その2階には3つの部屋があるが、踊り場も含めて全体が物置のようになっている。そんな状態がもう何年も続いている。
【写真】「え? こんなモノまで取っておいてたの…」モノ屋敷だった実家の片付け前と片付け後を見る
生ゴミで汚れているわけではない。だが、不要品が詰め込まれた大量のダンボールが部屋に敷き詰められ、空間として機能していない。生活のほとんどが1階で完結しているためか、全体的にどこかホコリっぽい。
衣類、鞄、布団、草履、工具、大型家具――使っていないモノがどんどん1階から2階に移動していき、日常的に取り出している様子はない。
「もう、何が何かわからない。面白そうなものがあったら残しておいてください」
今回の依頼主である50代の息子がそう話す。
【画像】「モノ屋敷」と化した実家を片付け! 次々と運び出される年代物の家具たち 片付け前と片付け後を見る(31枚)
現場に入ったスタッフは総勢6名。2階には大型家具が目立つため、仕分けが2名に運び出しが4名の配置だ。部屋の隅に積み上がっている小さな箱を開けてみると、何十年も前のおもちゃが丁寧に中に詰められていた。ゴミを溜め込んでいるわけではない。使わなくなったモノまで大切に保管しているのだ。
依頼内容は、2階にあるモノの量を減らすというもの。1階はキッチン部分を片付けるだけで、基本的には現状維持となる。それには理由があった。
母の入院で事態が動いた
イーブイが見積もりにやってきたとき、家には母親が一人で暮らしていた。息子は5年前から実家の片付けを計画していて、これまで何度も別の片付け業者に見積もりの依頼をしてきた。しかし、いつも寸前のところで計画が止まってしまった。
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