「女性主人公」の警察ドラマがいま増えるのはなぜ 主演は演技力に定評ある松岡茉優と小芝風花
東洋経済オンライン / 2024年6月30日 12時0分
7月開始の夏ドラマで目を引くのが、女性を主人公にした警察ドラマだ。女性が主人公の刑事ドラマももうそれほど珍しくないが、今回の2作品はそれともまたちょっと違う。
【画像を見る】「ノー残業」をモットーとする警察署勤務・3人の「女ギーク」を演じるのはだれ?
しかも主役を演じるのが、刑事役や警察官役を演じたことがないわけではないが、比較的そのイメージが薄い松岡茉優や小芝風花というのも新鮮だ。いま、警察ドラマになにが起ころうとしているのか? これまでの作品と比べながら、少し考えてみたい。
松岡茉優『ギークス』と小芝風花『GO HOME』
まずはその2作品を紹介しよう(以下、番組内容については公式サイトなどを参照した)。
ひとつは、松岡茉優主演の『ギークス~警察署の変人たち~』(フジテレビ系)。耳慣れない感じもあるが、英語で「ギーク(geek)」とは、特定の分野に詳しいマニア、つまり「賢いオタク」のことだ。
松岡茉優が演じる西条唯は鑑識官。物事の細部まで瞬時に把握する記憶力と高い証拠分析能力を備えている。
田中みな実が演じる吉良ます美は産業医で、プロファイリングなど心理分析に長けている。そして滝沢カレンが演じる基山伊織は交通課勤務。地域の情報がすべて頭に入っているほど地理に詳しい。
この警察署勤務の女性ギーク3人が、それぞれの得意分野の知識で本職の刑事も手を焼く難事件を解決する。だが3人は手柄にはあまり関心はなく、人付き合いや恋愛が不得手でそのことにいつも頭を悩ませている。
もうひとつは、小芝風花主演の『GO HOME〜警視庁身元不明人相談室〜』(日本テレビ系)。サブタイトルの部署は、実際にある部署をモデルにしているそうだ。
小芝風花が演じる三田桜は、身元不明のご遺体の身元を特定し、家族のもとへ帰すことを仕事にする「身元不明人相談室」所属の警察官。身元特定は大切とは言え地味な仕事だが、わざわざこの部署に配属されることを希望した“変わり者”である。
そして桜の同僚で、切れ者のバディとして活躍するのが月本真。この役を大島優子が演じる。
女性主人公と“僻地もの”の系譜
この2作品からまず気づくのは、女性が主人公であること、しかもその周囲に登場する主要人物たちもみな女性だということである。ここまで中心人物を女性で固めた警察ドラマもかなり珍しい。
女性が主人公の警察(刑事)ドラマが本格的に登場し始めたのは、1990年代くらいからと言える。浅野温子が警視庁捜査一課の刑事を演じた『沙粧妙子-最後の事件-』(フジテレビ系、1995年放送)などは、先駆け的なものだろう。
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