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元3セク社長が指摘「赤字ローカル鉄道の処方箋」 「日本鉄道マーケティング」の山田氏に聞く

東洋経済オンライン / 2024年7月1日 7時30分

また、法定協議会が開催した沿線活動団体を集めたフォーラムで多様な団体が各地で活動していることがわかり、「同じ日に同時多発でやってみたらどうか?」というアイデアが出て、その日に近江鉄道もありがとうフェスタを開催し、近江鉄道線を無料にして回遊してもらおうとなりました。こうして2022年10月16日に「全線無料デイ」が開催され、沿線の各駅でたくさんの連携イベントが行われました。

――通常の1日当たり利用者は3000人でその3倍の1万人が利用すると想定していたところ、3万8000人が訪れたと聞きました。

大きなインパクトがあり、鉄道のポテンシャルを感じていただけました。2024年4月に近江鉄道は公設民営による上下分離となり、新しい体制に移行しました。お役目も果たせたので10年ぶりに東京に戻り日本鉄道マーケティングの業務を再開しました。

大切なのは「伴走支援」

――それで、次の仕事が鉄道の伴走支援。

分析や戦略立案はとても大事なのですが、地域の環境や状況はまったく異なるので処方箋もそれぞれ変わってきます。先ほどもお話ししたとおり、私は伴走支援がいちばん重要と考えています。実装は大変難しいのです。現地の方々の声を聴き地域を理解しつつ、鉄道とまちづくりへの理解を積み上げていく必要があります。鉄道の運行をギリギリのコストと体制でやってきた方々に、地域や行政との関係づくりも担っていただくのか、新しい体制を組み直すのかなどの議論も必要ですし、行政の方々はほぼ3年で異動されてしまうので、短期に成果を出しつつ腰を据えた体質改善も進める必要があります。

――鉄道事業者と自治体、どちらが顧客になる?

どちらもです。とはいえ、地域鉄道事業者は運行に必要な人員を残してそれ以外の人を削っており、企画に割ける余裕がないのです。まちづくりと連携する必要もあるので、自治体さんのほうがお話ししやすいかとは思います。

――アドバイス次第で今後、状況が大きく改善できそうな路線はある?

都会に向かって走っているのに維持が難しいと言われている路線は、かなり改善効果があると思われます。鉄道が使われないのには理由があるはずなので、そこを探り当てて直していくことになります。地域鉄道事業者は青息吐息で運営し、やむなく減便や値上げをして使いづらくなり、ますます利用者が減り、地域が枯れていく。こんな状況を逆回転させることが重要だと考えています。

大坂 直樹:東洋経済 記者

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