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将来の北海道?「ニュージーランド」鉄道の実態 人口少ない国で鉄道はどんな役割をはたすか

東洋経済オンライン / 2024年7月2日 7時30分

しかし、週3便の列車はご機嫌なものであった。カナダ製ディーゼル電気機関車牽引、景色を楽しめるよう大きな窓の客車、カフェカーと展望車を連結、展望車は最後尾ということではなく、日本的にいえばトロッコ列車のようなオープン・エアの車両を連結している。列車名は「ノーザン・エクスプローラー」だ。

オークランド―ウエリントン間の所要時間は約11時間、その間に大きな都市はほとんどなく、客の乗降もわずかで、多くの客がオークランドからウエリントンまでの景色を楽しもうという海外からの観光客であった。

車窓には雄大な景色が展開し、国立公園を通過、ループ線を伴っての山越えもある。草原をかける羊の群、渓谷、雪山、そして最後には南太平洋が展開する。ネットで予約、料金はクレジットカード利用料を含めて243.78ニュージーランドドル、カード支払い額2万2965円であった。

ちなみに、この区間を移動するだけならジェットスター航空などのLCCが多く飛んでいて、6000円台から飛ぶことができる。筆者もウエリントンからオークランドへは迷わず空路で戻ったのである。

ニュージーランドの長距離列車は万事がこのような感じで、最も人気の高い南島を横断するクライストチャーチ―グレイマウス間「トランス・アルパイン」でも冬季は週4便、クライストチャーチ―ピクトン間「コースタル・パシフィック」に至っては冬季運休となる。これらの列車もすべて展望車連結の観光列車である(冬季とは日本の夏季)。

オークランド―ウエリントン間を列車移動、ウエリントンからフェリーで南島のピクトンへ、「コースタル・パシフィック」を利用すればクライストチャーチまでを列車、フェリー、列車と乗り継ぐ旅が可能なのであるが、季節によってはそれができなくなっている。

筆者はかつて、南島最南のインバーカーギルまでを列車でたどったことがあり、最果て旅情に満ちていたのだが、現在のニュージーランドの長距離列車は、移動手段ではなく、観光客用のアトラクションとして残っている程度になった。

しかし、ニュージーランドだけでなく、将来、北海道などもこれに近い状況になるのではとも考えてしまうのである。

大都市近郊鉄道は便利で快適

長距離列車が観光列車のみになったニュージーランドの鉄道だが、大都市近郊の鉄道は新たに建設、延伸工事も行われている。最大都市オークランドにはスペイン製電車による4系統の近郊路線がある。オークランドからニュージーランド第4の都市ハミルトンまでの136キロには「テ・フィア」という都市間列車が、ディーゼル電気機関車が客車を引いたり押したりするスタイルで運行している。

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