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将来の北海道?「ニュージーランド」鉄道の実態 人口少ない国で鉄道はどんな役割をはたすか

東洋経済オンライン / 2024年7月2日 7時30分

物価の高い国だけに、初乗りは日本より高額に感じるが、1日に何度も乗り降りするならずいぶんお得なシステムと感じた。実はこのようなシステムを導入する都市は多く、ヨーロッパでも実施されている。逆にいえば、紙の切符などからICカードに移行する際、ICカードのお得感がもっとも希薄なのが日本で、各国ともICカード普及によるメンテナンスの負担軽減を利用者に還元、もしくは紙の1日券などを廃止して合理化を果たしている。

バスを利用して感じたこともある。人口が少ないのに利用者が多いこと、そして短区間の利用者も多いことである。ICカードに1日の上限があるだけでなく、バス同士、鉄道とバスの乗り継ぎの場合、乗り継いだバスなどが無料、もしくは大幅に割引になるので、気軽に利用できるのである。

日本では路線バスが利用低迷、運転手不足、減便や廃止と悪循環に陥っているが、乗り継ぐたびに初乗り運賃を払う日本のシステムもその一因だと感じる。日本の交通機関は優れたシステムであるがために、海外を手本とする姿勢が見られなくなったと感じる。

筆者が少年時代の鉄道は「海外では禁煙車が当たり前」、「空港アクセスに鉄道が活躍する」と、海外の事例を手本にして発展してきた部分も多かった。近年は「何でも日本が1番」とする傾向があるが、海外の事例をもっと参考にする姿勢も必要であると思う。

旅情豊かな北島と南島を結ぶフェリー

ニュージーランドへ行ったら体験したいものに北島のウエリントンと南島のピクトンを結ぶフェリーがある。インターアイランダーとブルー・ブリッジの2社が、合計で5隻のフェリーで運航、曜日によって1日5~10往復ある。所要時間は3時間30分ほどである。

鉄道の本数が激減し、接続も図られていないが、北島の南の鉄道の終点と南島の鉄道の起点を結んでいるので、かつての青函連絡船を彷彿とさせる。所要時間もほぼ同じ、航路の半分以上は湾内の静かな海を行くが、外海とつながる海峡部分は波があるという部分も酷似していた。

現在は鉄道の本数が減り、鉄道連絡船というよりカーフェリーの役割がほとんどである。さらに2社のフェリー乗り場の場所が、1社はウエリントンで、1社はピクトンで駅から離れた場所にあるため、どちらに乗ってもどちらかで送迎バスに乗らねばならないという不便もある。

しかし、鉄道と鉄道をフェリーでつなぐという、日本ではほぼほぼ味わえなくなった旅が、ニュージーランドでは可能なことも確かで、スローな旅を味わいたい向きにはおすすめである。

谷川 一巳:交通ライター

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