1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

将来の北海道?「ニュージーランド」鉄道の実態 人口少ない国で鉄道はどんな役割をはたすか

東洋経済オンライン / 2024年7月2日 7時30分

首都ウエリントンには韓国製電車による4系統の近郊路線があるほか、距離が長めのマスタートンへはディーゼル電気機関車牽引の「ワイララパ・コネクション」も運行している。ウエリントン―パーマストンノース間140kmには、ディーゼル電気機関車牽引の「キャピタル・コネクション」もあり、朝の上りと夕方の下りのみ運行、遠距離通勤に特化した列車である。

2都市ともおもな需要は通勤と生活の路線であるが、オークランドでは鉄道+路線バスで空港アクセスの機能も果たしているので、外国人利用者も多い。起点となるのはオークランド中心街にあるブリマートという地下の終点駅であるが、現在はオークランド中心街の地下を通ってループ状にする延伸工事中で、完成するとブリマート駅は中間駅になる。

両都市とも近郊鉄道とはいえクロスシート中心の車両で、通勤といってもゆったりした座席、日本のような混雑は皆無であった。

ウエリントンの近郊路線は山間部や太平洋沿いの区間も多く、ニュージーランドらしい車窓を気軽に楽しめる。起点になるウエリントン駅は立派な構えの終点駅で、長距離列車、バス路線などが集まる、いわゆるターミナル駅である。

ウエリントンでは近郊路線乗り放題の1日券(27ニュージーランドドル)を利用、電車路線だけでなく、前述のマスタートンへの客車列車にも乗れるので、都市内だけでなく汽車旅も楽しめる。

では、オークランドはというと1日券がない。1日券がないだけではなく、観光客が使えそうな割引運賃が何もない。

しかし、それには納得の理由がある。オークランドの都市内交通は「ホップカード」というIC交通カードで利用、距離に応じて運賃が引き落とされるのだが、1日に引き落とされる上限が20ニュージーランドドル(約1818円)なので、1日券が20ニュージーランドドルだと思えばいいのである。

つまり「1日券で元が取れるかな?」、「こんなに乗るなら1日券を買っておけばよかった」などということがない。きわめて安心で親切なシステムである。しかも、近郊鉄道、路線バス、そして定期船すべてが同じ組織の運営なので、観光バスや空港バスにでも乗らない限り、1日の交通費は約1800円を超えることがないという優れたシステムである。これなら1日券の必要はない。

ICカードのお得感が最も希薄なのは日本

筆者は日中に鉄道、バス、定期船に乗った日、午後の遅い時間に空港バスを利用せず、鉄道+路線バスの方法で空港を往復したが、空港の往復時はカードをかざしても「0」と表示されるだけで、市内から空港の往復がほぼ無料であった。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください