楽天モバイル「プラチナバンド」ともう1つの武器 使えるツテをすべて注いで業界首位を目指す
東洋経済オンライン / 2024年7月2日 11時30分
しかし、楽天のプラチナバンドも万能ではない。割当て幅は上下3MHz幅で他キャリアの10MHzより狭くなっている。この帯域幅では、1つのアンテナからの電波を1つの端末で独占したとしても、4G LTEの通信速度は30Mbps程度が限界だと考えられる。10台もつなげると速度がでなくなる計算だ。
つまり、楽天モバイルのプラチナバンドでは、他キャリアのプラチナバンドのように、1つの大きな基地局で広い面積をカバーするような整備の仕方は難しいということになる。
“1局”からと抑制気味の展開計画
楽天モバイルは完全仮想化した携帯電話ネットワークを特徴としている。そのため、基地局の既存設備を流用しつつ、700MHz帯用のアンテナ(RU)を追加するだけで改修工事が完了する。これにより、コストを抑えながらエリアを拡大できる。
とはいえ、アンテナを取り付ける工事が発生するのは変わらない。そのため、迅速なエリア拡大は望めないだろう。
楽天モバイルの計画では、既存の1.7GHz帯を中心に整備を進める。そのうえで、この周波数帯でカバーしきれなかった地点にスポット的に700MHz帯を整備していく方針だ。
6月27日時点では東京都内の1つの基地局からスタート。関東地方から順次拡大していく方針だ。楽天モバイルの提出した開設計画では、10年で544億円を投資し、700MHz帯をカバーした基地局を1万661局開設する計画だ。
過去の例を見るとイー・アクセス(現ソフトバンク)の700MHz帯の開設計画では、2015年からの10年間の設備投資額が1439億円、開設基地局数が1万4994局という規模だった。投資額と開設基地局数の規模に大きな差がある。
ただし、すでに1.7GHz帯で全国に展開し、5Gの周波数割当ても受けている楽天モバイルと、当時のイー・アクセスを単純に比較することは難しい面もある。楽天モバイルにおいて今回獲得したプラチナバンドの重要度が相対的に低いことを示唆しているのかもしれない。
5Gでは三大都市圏でエリア大幅拡大
楽天モバイルは、5G基地局の設置を急速に進めており、現在1.7万局を突破したと発表した。特に5Gのエリア整備で当面の主力となるSub6周波数の整備では進展があった。衛星との干渉問題が解決され、関東圏でSub6エリアを最大1.6倍まで拡大できる見込みが立った。また、東海地方では1.7倍、近畿地方では1.1倍のエリア拡大をすでに完了している。
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