1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

「Vision Pro」世界展開で改めて俯瞰するXR業界 生成AIとセットで進化する空間コンピューター

東洋経済オンライン / 2024年7月2日 17時0分

アップルが各国での販売を開始したVision Pro。メタのQuestシリーズとともに、その足元を冷静に見つめ、アップルとメタの意図を探ってみたい(写真:アップル)

拡張現実(AR)、仮想現実(VR)、複合現実(MR)といった技術を包括する用語としてXR(Extended RealityあるいはCross Reality)という言葉がある。メタのMeta Quest 3、アップルのApple Vision Proに代表されるMRを実現するヘッドマウントディスプレー(HMD)が登場したことで、このジャンルは“再注目”されている。

【写真で見る】ヘッドマウントディスプレーの基本的な構造は、実は45年間ほど前からさほど変わっていない

起源は35年前に遡る

しかし、長くテクノロジー業界を俯瞰してきた関係者からすると、“既視感”があるのも事実だ。XR関連技術の多くはVRから派生したものだが、実はその起源は古く35年前に遡る。

そうした中で、XR向けHMDデバイスが産業用以外で成功し、ビジネスブランドとして確立した例はない。コンシューマー向け製品としても、機能や適用範囲は拡大の一途をたどっており、市場規模も拡大はしているが、市場への定着に疑問もある。

こうした状況下、アップルが半年近いアメリカでの販売期間を経て、日本をはじめとする各国での販売を開始したVision Pro。メタのQuestシリーズとともに、その足元を冷静に見つめるとともに、アップルとメタの意図を探ってみたい。

VRシステムの歴史は実は古い。

1989年に伝説的なエンジニアのジャロン・ラニアーが率いるVPL ReserchがVRヘッドセットの基本形を開発したのが最初だ。偶然の一致ではあるが、このヘッドセットは“Eyephone(アイフォン)”という名前だった。

手の形状を計測するData Gloveと呼ばれる装置と組み合わせ、“R2D”という通信システムとしてパシフィックベル(かつてあった米通信会社)の展示ブースで発表し、のちに各国の大手メーカーにその基本システムが販売された。日本でも松下電器が調達してアプリケーションを開発し、システムキッチンの販売シミュレーション向けに1980年に運用を始めたとの記録がある。

このシステムと現代のMR HMDの違いは、実は驚くほど似ている。下記は筆者が模式図にしたものだが、表示品質やコンピューターのサイズ、性能などは異なるが、基本的な構成は同じ。

MRシステムでは外部の映像や空間把握能力を得るためのセンサーが配置されるが、視覚を奪った上でコンピューター映像を眼球に投影し、手などのジェスチャーを通じてコンピューターとインタラクションするという点は共通している。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください