1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

「Vision Pro」世界展開で改めて俯瞰するXR業界 生成AIとセットで進化する空間コンピューター

東洋経済オンライン / 2024年7月2日 17時0分

MRシステムはコストが大きすぎて実装できなかったカメラを用いた現実空間を模写する技術を、Vision ProやQuest 3といった単独デバイスでも実現したことで、ひとつのハードルは越えた。前者は映像品位の面で大きな驚きを与え、後者は前者の1/7の価格でMRを実現している点で注目に値する。

体験の質で圧倒するVision Proに注目が集まりがちだが、実現している技術と価格のバランスという面に優れたQuest 3は、その陰に隠れて過小評価されているように思う。

存在感が大きいARグラス

今年の製品化動向を見ると積極的に新製品を展開するXREALをはじめとするARグラスの存在感も大きいように思える。

ARグラスはコンピューターグラフィクスの映像とともに、光学的に周囲が見えるよう透過的に設計された製品だ。必要な半導体や表示用OLED、グラスの光学設計技術などが確立され、比較的容易に開発できるようになっているため、多くの製品が生まれている。

メガネのように軽快に利用でき、透過する実像を遮蔽するシールドをつけると映像を純粋に試すこともできるが、多くはスマートフォン用ディスプレーとして設計されており、新しいコンピューターデバイスというよりもスマホ向けモバイルディスプレーという位置付けだ。

もちろん、そうしたニーズもあるが、DSCC(ディスプレーデバイス専門の調査会社)が発表しているVR(MR含む)向け、AR向けディスプレーデバイスの出荷動向・予測を見る限り、ARグラス市場は全体の2割以下でしかない。

なお、VR/MR向けディスプレーの出荷は2025年以降にペースが急増する予測(2023年末)で、この予測そのものに大きな違いはないが、DSCCは最近、増加ペースに関して予測値を少し下方修正している点に留意したい。

“XRデバイス”といった場合、VR/MR用HMDもあればARグラスもある。また幅広く捉えれば、2面あるいは3面に立体配置したLEDサイネージに擬似的な3D映像を流す広告表示などもXRデバイスと言えるが、現時点でのARデバイスは用途がやや限定的だ。

一方で技術的なハードルを越えてくれば、AR/MRデバイスは増加してくる。

おそらくアップルはこうした将来を見越して、開発者やクリエイターに対してMRデバイスを磨き込んだ先にある“空間コンピューター”の世界をVision Proで見せたかったのではないだろうか。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください