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東武日光線「ギリギリ埼玉県内」の3駅に何がある? 群馬・栃木・茨城の県境近い栗橋から柳生まで

東洋経済オンライン / 2024年7月3日 7時30分

椎名駅長が預かる3駅はいずれも埼玉県の駅だが、古河の花火大会に関する打ちあわせでは県境を越えて茨城県に出向くこともあるし、管区の拠点は栃木県の栃木駅。さらに日中の無人になる時間帯の利用者対応をしている板倉東洋大前駅は群馬県内の駅だ。つまり、椎名駅長は実に4県を股に掛けて仕事をしている、ということになる。

古くからの交通の要衝

利根川に渡良瀬川が合流するこの一帯は、鉄道以前の時代から交通の要衝だった。栗橋の宿場は河川舟運の一大拠点。明治に入り鉄道が開業するまでは、東京・深川との間を汽船が行き来していたという。

鉄道が通ってからも物資の集積地としての機能は衰えず、明治から昭和の初めまでは紡績工場も置かれていた。物流の要の存在感の大きさがうかがえる。いま、栗橋駅を預かる椎名駅長が、4県を股に掛けているというのも、そうした要地であることの名残の1つといっていいのかもしれない。

そしてもう1つ、この地域が県境の入り組んだところであるということを教えてくれるのが、柳生駅である。柳生駅から歩いて10分ほどの田園地帯の真ん中に、埼玉・群馬・栃木の三県境があるのだ。

「小さくマークされていまして、ちょっとした観光スポットになっていますよ。三県境が平地にあるというのはなかなか珍しいらしくて。昔は川が合流する場所だったようですが、渡良瀬遊水地ができたことで平地の三県境になったとか」(椎名駅長)

柳生駅の一帯は、もともと「北川辺」と呼ばれていた。肥沃な土地で、「北川辺米」と呼ばれるコシヒカリがたいそう美味いそうだ。

「三県境」と渡良瀬遊水地

駅から三県境まで10分ほど歩き、さらに10分ほど足を延ばして土手を越えれば渡良瀬遊水地。渡良瀬川上流、足尾銅山の鉱毒を沈殿させる公害対策を目的の1つに昭和初期に完成した。そのとき、旧谷中村をはじめとするいくつかの集落が水底に沈んだという。

そんな渡良瀬遊水地、2012年にはラムサール条約の登録湿地になった。外国人観光客の姿もちらほらと。いまでは水害から町を守る役割も果たしている。

都心直結の最北・南栗橋駅から少しはみ出した、東武日光線の北関東への助走区間。椎名駅長が預かるこの3駅は、ただ水辺を走っているというだけではない、歴史的にも風景的にも実に大きな意味を持っているのである。

鼠入 昌史:ライター

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