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「俺のも頼むよ」次々声がかかるビジネスの始め方 趣味で始めたCDベイビーが「事業」に変わるまで

東洋経済オンライン / 2024年7月4日 14時0分

プロのミュージシャンとして生計を立てていた著者は、なぜビジネスを始めたのでしょうか(写真:Ushico/PIXTA)

どうしてあの事業はあそこまで大きくなったのだろう、と考えたことはないだろうか? 大きくなる事業と、そうでない事業の違いはどこにあるのか?

1990年代末にオンラインCDショップ「CDベイビー」を立ち上げて大成功を収めた起業家であり、TED動画「社会運動はどうやって起こすか」のプレゼンターとしても有名になったミュージシャン、デレク・シヴァーズ。

彼が11日間で一気に書き上げたという著書『エニシング・ユー・ウォント:すぐれたビジネスはシンプルに表せる』から、CDベイビーが立ち上がる瞬間の話を紹介しよう。

なぜミュージシャンが起業することになったのか

物語は1997年に始まる。僕は27歳のプロのミュージシャンで、音楽の仕事だけで生計を立てていた。

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アメリカやヨーロッパで多くのライブを行い、他のミュージシャンのレコードをプロデュースし、スタジオミュージシャンとしても働き、小さなレコーディング・スタジオを経営していた。

とあるサーカスのミュージシャン兼司会者でもあった。

銀行口座にはいつもたいした額はなかったけれど、空になることはなかった。ニューヨーク州のウッドストックに家も買った。それくらいのお金は稼げていた。

僕はまさに、ミュージシャンにとっての夢の人生を生きていた。

自分の曲をCDにして、コンサート会場で販売した。通算で1500枚売れた。

ネットでも売りたかったけど、当時は、インディーズの楽曲をオンラインで販売してくれる業者は皆無だった。本当に一社もなかった。

大手のオンラインのレコード・ストアに電話しても、答えはどこも同じ。

「オンライン・ストアでCDを売りたいのなら、大手の流通業者(ディストリビューター)を通すこと」

自分のCDを売りたかっただけ

音楽の流通ビジネスはとにかく厄介な世界だ。流通の契約を結ぶのは、レコード制作の契約を結ぶのと同じくらい難しい。

流通業者は、販売用に何千枚ものCDを受け取るが、その対価の支払いは、ようやく1年後になってから。

潤沢な資金のある大手のレコード会社は、プロモーション用の高額な広告枠を買える。でもそうでない弱小会社は、ひどい扱いを受ける。最初の数カ月の売れ行きが悪ければ、システムから叩き出されてしまう。

流通業者が極悪非道なことをしていたというわけではない。ただ、とにかく業界全体の仕組みがひどかったのだ。

僕は、そんな業界のシステムに関わりたくなかった。だから、大手のオンライン・レコード・ストアから門前払いを食らったとき、とっさにこう考えた。

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