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「俺のも頼むよ」次々声がかかるビジネスの始め方 趣味で始めたCDベイビーが「事業」に変わるまで

東洋経済オンライン / 2024年7月4日 14時0分

「上等じゃないか。自分のオンライン・ストアを立ち上げてやる。大したことはないはずだ」

だがそれは、実際にはとてつもなく大変だった。

1997年当時、オンラインの決済サービスを提供するペイパルはまだ存在していなかった。

だから、まずはカード決済を可能にするために、クレジットカードのマーチャント・アカウントを取得しなければならなかった。

それには設定料として1000ドルが必要で、事務手続きに3カ月もかかった。

僕がまともなビジネスをしているかどうかを確認するために、銀行から担当者がわざわざやって来たくらいだ。

それから、ウェブサイト上に表示されるショッピングカートのつくり方も学ばなければならなかった。

プログラミングについてはずぶの素人だったので、本を見て、そこに書いてあるコードをコピーしながら、見よう見まねで試行錯誤を重ねていった。

そして、ついにウェブサイトに「Buy Now(今すぐ購入)」ボタンが表示された! 

1997年当時、それは大きな出来事だった。

ミュージシャン仲間に「Buy Now」ボタンのことを話すと、ある友人から、「俺のCDも売ってくれないか?」と頼まれた。

僕は少しだけ考えて、「いいよ、問題ない」と答えた。

そして僕のバンドのウェブサイトに、彼のCDを販売するためのページをつくった。作業には2時間ほどかかった。

ほどなくして、別の友人2人からもCDを売ってほしいと頼まれた。さらに、知らない人からも電話がかかってくるようになった。

「友達のデイブから聞いたんだけど、君のウェブサイトで俺のCDを売ってくれるんだって?」というふうに。

電話とメールがひっきりなしに来るようになった。僕は無償で、全員のためにCD販売用のページをつくってあげた。

ミュージック界のオンラインのリーダーだった2人が、メーリングリストで僕のウェブサイトのことを紹介してくれた(「Gajoob」のブライアン・ベーカーと、デビッド・フーパーだ。ありがとう!)。

おかげで、さらに50人のミュージシャンから依頼があった。

夢の流通契約を書き出してみた

でも、これはもともと、何人かの友人のために好意でしていたことのはずだった。

こうして、友人たちのCDを売るのを手伝うための作業に、かなりの時間が必要になってきた。そして僕は、図らずも自分がビジネスを始めてしまったことに気づいた。

でも、ビジネスなんてしたくはなかった!

僕はすでに、フルタイムのミュージシャンとして生計を立てるという、夢に描いてきた生活を送っていたのだから。その邪魔になるようなことはしたくなかった。

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