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人間とコウモリ「意外な共通点」から覚える親近感 一見すると哺乳類とはかけ離れた印象を持つが

東洋経済オンライン / 2024年7月4日 16時0分

日本に生息するコウモリは約35種が知られている(写真:303/PIXTA)

海獣学者・獣医として海陸両方のさまざまな哺乳類に触れ、解剖学の知識をもつ田島木綿子氏。

そんな田島氏の新著『クジラの歌を聴け 動物が生命をつなぐ驚異のしくみ』には、動物たちの交尾の驚くべき工夫、妊娠・出産の不思議など、あまり明るみに出ないけれど実はとても面白い、繁殖・生殖の話が多く掲載されています。

同書より一部を抜粋し、3回にわたってお届けします。

第2回は人間とコウモリの意外な共通点についてです。

人間と同じタイプの子宮をもつサル

日本では、サルといえばニホンザルの知名度が群を抜いて高い。サル目は霊長目とも呼ばれ、チンパンジーや森の人と呼ばれるオランウータン、ゴリラなどの類人猿のほか、私たち人間も霊長目である。霊長目のメスも、体内に子宮や胎盤をもち、子どもを育てる。

【イラストで見る】人間とコウモリが共通して持っているもの

人間以外のサル目の多くは、主に熱帯から亜熱帯に生息する。ニホンザルのように雪の降る寒い地で暮らしている種は、じつはとても珍しい。生息地として有名な青森県下北半島は、サル目の生息域の北限にあたるため、ニホンザルの生態を解明することは、世界的にも重要なポイントとなっている。

サル目の生活様式は、種によってさまざまである。ニホンザルを含む多くのサルは複数のオスとメスで1つの群れをつくって暮らす。その他では、オランウータンのように母子以外は基本的に単独で行動する種や、ゴリラのように一夫多妻で群れをつくる種、一夫一妻様式で生活するテナガザルのような種も存在する。

また、チンパンジーは、ニホンザルと同様に基本的に複数のオスとメスで群れをつくるが、数頭または単独で行動する時間も長い。これはエサの奪い合いを防ぐためと考えられている。

サル目に共通する体の構造は、左右の目が顔の正面に位置していること、手足の指がそれぞれ5本あって親指との距離があること、脳がとても発達していることなどが挙げられる。目が顔の正面にあると身体の向きと連動して遠近感をとらえやすく、指を使ってモノをつかむときにも有利となる。さらに、3つの色を識別できる種も存在し、繁殖行動でも大いに活かされている。

そしてサル目のメスの子宮は「単一子宮」と呼ばれるタイプである。

受精卵(胚)の育つ「子宮」は、平滑筋と粘膜で構成され、哺乳類(カンガルーなどの有袋類を含む)の子宮は、構造や形態の違いによって次の5つに大別される。

1 単一子宮(霊長類、翼手類など)
2 双角子宮(有蹄類、食肉類、小型反芻類、鰭脚類など)
3 両分子宮(鯨類、大型反芻類など)
4 重複子宮(齧歯類、ウサギ、ゾウ、アリクイなど)
5 重複子宮で重複膣をもつ(有袋類など)

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