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株主に「経営陣退陣」を迫られた2社が残した宿題 主導権は会社側が確保するも"一件落着"ならず

東洋経済オンライン / 2024年7月4日 8時30分

株主から経営陣の交代を迫られていたダイドーリミテッドと東洋証券。会社提案の取締役候補が選任されたところで、安穏とはしていられない(記者撮影)

老舗アパレルに「物言う株主」が取締役を送り込むことに成功した。

【図表で見る】ダイドーリミテッドの議決権行使結果。株主ファンドが提案した候補者3人も取締役に選任された

6月27日、「ニューヨーカー」や「ブルックス ブラザーズ」を展開するアパレルメーカー、ダイドーリミテッドの株主総会が開かれた。32.2%の株式を持つアクティビストファンドのストラテジックキャピタル(以下SC)が株主提案を行っており、その行方が注目されていた(詳細はこちら)。

会社側とSC側はそれぞれ、6人の取締役候補を提案。結果は会社提案から5人、SC提案から3人が選任され、会社側がかろうじて過半数の取締役を確保した。

会長兼CEOには、会社が提案したコンサルティング会社CEOの山田政弘氏が就任し、同じコンサル出身で高級レストラン・ひらまつの再生に携わった成瀬功一郎氏が社長になる。

8人とも賛成率は過半数ぎりぎり

各候補者の賛成率は下図の通りだ。山田氏が51.25%で成瀬氏が51.34%。SC提案の社長候補だったブルックス ブラザーズ日本法人元CFOの中山俊彦氏は50.70%。ダイドーの取締役は最大8人と決められており、賛成率の高い順に選任されたが、いずれも可決要件の過半数をぎりぎり上回る薄氷の選任となった。

「(提案した6人のうち)3人が選任されたことについて株主に感謝したい。もう少し賛同を得られると思ったが、株主提案が可決されるにはまだハードルがあると感じた」。SCの丸木強代表は株主総会後、記者会見でこのように語った。今後も主力であるアパレル事業の立て直しと、不動産事業の抜本的見直しを訴えていくという。

選任されたSC提案の取締役の中には中山氏のほか、オンワード樫山元社長の大澤道雄氏もいる。アパレル事業の経験を持つこれらの取締役が、11年連続で営業赤字に沈むダイドーの立て直しにどのように関わるかが今後の焦点となる。

ダイドーの会長になった山田氏も6月28日に会見し、「(株主提案の取締役は)必ずしもSCの意向を受けて活動するわけではないと聞いている。お持ちの知見をぶつけていただきたい」と話した。一方で「SCはなんら具体的な事業計画や方針を出してこなかった。それは取締役候補も同じだった。事業計画について意見がぶつかることはない」と、自らが主導して経営を進めることに意欲を示した。

株主総会前、ダイドーとSCは激しい応酬を繰り広げてきた。ダイドーはSCが社長候補に提案する中山氏について、従業員が取締役就任に反対しているとの意見書を公開。「事業面や職場で大きな混乱を抱えることになる」とまで主張した。

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