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小田急線の「西の要衝」足柄、知られざる駅の裏側 乗降人員最少だが、運行上の重要拠点がある

東洋経済オンライン / 2024年7月4日 7時0分

駅西側と南側に車庫線があって、日中は10両編成の特急車両のうち、分割された4両が休んでいる姿を見ることができる。かつては日本専売公社小田原工場の専用線が同駅から西へ延びていた。跡地は遊歩道として整備されている。

駅前にはロータリーもなく、閑静な住宅地が広がる。東に少し離れて小田原から平行する形で伊豆箱根鉄道大雄山線が走っており、北西へカーブを描いて五百羅漢駅近くで小田急線をくぐりながら交差する。同駅は足柄駅から徒歩圏内だ。酒匂川沿いには2013年に完成したアマゾンで日本最大級という巨大な物流センターが建つ。

足柄駅を管轄する小田原管区の後藤晃伸管区長兼小田原駅長は1987年の入社で、最初に配属されたのは都心側のターミナル、新宿駅だったという。これまで下北沢と藤沢の駅長などを務めてきた。

足柄の最近の利用客の特徴については「南新宿とは乗降数で競っているが、足柄は看護専門学校があることと、アマゾンの物流センターができたことによる通勤通学需要に支えられている」と説明する。初電など早朝の時間帯に物流センターで働く人たちの利用も見られるようになった。

小田急線の中では歴史ある駅だけに昔の姿を残す場所も。「いまは跨線橋で上りホームと行き来するようになっていますが、ホームの端には横断踏切があったころの階段が残っています」(後藤管区長)。

2つの足柄駅の共通点

信号取り扱いの業務が長い同管区の大熊亨副駅長によると、足柄駅にも信号所があり、信号取扱者の資格を持つ駅員が2人配置されているが、もっぱら小田原駅に置かれた信号連動盤が用いられているという。

「足柄」という駅名は足柄峠の西側、静岡県内のJR御殿場線にも存在する。「ごくまれに間違える方はいらっしゃいます」(大熊副駅長)。ロマンスカーMSEは新松田からJR御殿場線に直通する特急「ふじさん」の運用にも充てられていて、小田急小田原線とJR御殿場線、両方の足柄駅で姿を見ることができる。どちらも通過駅という共通点もある。

ロマンスカーに乗っているだけだと気づかないが、足柄の最大の特色は運転士・車掌の拠点である乗務所が置かれていることだ。小田急には喜多見、大野、海老名、それに足柄の4カ所があって、乗務員は所属する乗務所を拠点に全線で乗務する。以前はそれぞれ電車区と車掌区に分かれていたが、最近になって乗務所に統合された。

足柄乗務所の前身の電車区・車掌区は2010年の発足で比較的新しい。かつては県西エリアでダイヤ乱れなどが発生したときなどには海老名から乗務員が向かっていたが、足柄に拠点ができたことで復旧までの時間を短縮できるようになったという。

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