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フィギュアにM-1、「後攻有利」のジンクスは本当か 「50音順」や「誕生日順」の見直しも検討すべき

東洋経済オンライン / 2024年7月5日 16時30分

勝敗を分ける審判の「注意力」や「集中力」にも限界があるという(写真:digi009/PIXTA)

人間の注意力には「予算」のように限界があり、スポーツの審判やプレゼンの審査員も常にハイレベルで集中できるわけではありません。注意力が枯渇したり、逆に温存されたりする結果、判定のブレや採点の偏りが生まれるケースについて、スポーツを題材に行動経済学・認知科学を研究する今泉拓氏が解説します。

※本稿は今泉氏の著書『行動経済学が勝敗を支配する 世界的アスリートも“つい”やってしまう不合理な選択』から、一部を抜粋・編集してお届けします。

注意力の枯渇による判定ミス

人間の注意力や集中力には予算や財布のように限界があることが知られています。スポーツにおいては、審判や審査員が、試合や大会全体で常に一定の判断をしているわけではない可能性が調査によって指摘されています。

野球やサッカーのような競技では、序盤に難しい判定をすると、注意力の枯渇によって終盤はミスジャッジが増えると考えられます。

野球では、ストライクとボールの判定について、この注意力の枯渇が示されており、序盤に重要度の高い判定を繰り返すと、試合の後半に判定ミスが増えることが知られています。

全米経済研究所の調査[1]では、各投球の重要度が高まるとその後のストライクとボールの誤審率が増えることを示しました。

詳細な内容は割愛しますが、たとえば、序盤に重要度が1段階高い場面(3回裏2点ビハインドランナー2塁3塁など)があると、その後のストライク・ボール判定を誤る確率が1球あたり、0.71%高まるとされています。

また、最終回では序盤に比べて、誤審率が0.36%高まることがわかりました。

さらにこの研究では、ストライクとボールの誤審率はイニング間で休憩を挟むと低くなるとわかりました。これは休憩によって注意力が回復する(=プレーによって注意力が減少する)可能性が示唆されます。

羽生結弦とネイサン・チェンの世界新記録合戦

一方、体操やフィギュアスケートのような採点競技では、後半に重要な演技があるため、審査員は後半の選手の採点に注力していると考えられています。

2019年の世界フィギュアスケート選手権は、オリンピック連覇を果たした羽生結弦と前年の世界選手権を制覇したネイサン・チェンがデッドヒートを繰り広げる記念碑的な大会になりました。

羽生はショートプログラムとフリープログラムで合計300.97点を獲得。新採点方式では世界初の300超えの得点で、世界記録を更新しました。前人未到の大記録達成に選手権の優勝は目の前のようにみえました。

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