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フィギュアにM-1、「後攻有利」のジンクスは本当か 「50音順」や「誕生日順」の見直しも検討すべき

東洋経済オンライン / 2024年7月5日 16時30分

しかし、羽生の直後に演技を行なったチェンは、完璧な演技を披露。羽生が直前に出した世界記録を上回る得点を叩き出し、世界選手権連覇を成し遂げました。

世界新記録が連続して生まれるという大変レベルの高い大会になりました。それと同時に多くのフィギュアスケートファンは、滑走順が後のほうが有利であることを確信した大会でもあります。

フィギュアスケートの例のように、採点競技は「演技が後であればあるほど有利」であることが経験的に知られています。行動経済学では、「全体順序バイアス(overall order bias)」と呼ばれています。

この認知バイアスは、スポーツだけでなくビジネスや芸術でもみられることが知られています。

たとえば、ベンチャー企業が資金を獲得するためのピッチコンテストでは、後半にプレゼンするほうが有利だと示す研究があります。

また、吹奏楽部の全国大会である全日本吹奏楽コンクールでは、演奏順が早いほど不利というジンクスが知られています。実際、朝一番の団体が金賞を取れる割合は全体の割合に比べ7割ほど低いようです[2]。

M-1グランプリでも先攻は負けフラグ?

2023年に行なわれたM-1グランプリでは、令和ロマンが優勝しましたが、ネタ順がトップバッターであったことも話題になりました。トップバッターが最終審査に残ったのも約20年ぶりでした。トップバッターはかなり不利といえるでしょう。

このように幅広い状況で、全体順序バイアスは見られます。では、この全体順序バイアスで、どれくらいの得点の差が生まれるのでしょうか。

シートン・ホール大学のロットフは体操競技を題材に、全体順序バイアスの大きさを分析しました[3]。

体操には、演技の難易度を採点するD得点(Difficulty Score、10点満点)と演技の美しさを採点するE得点(Execution Score、10点満点)があります。

全体順序バイアスは、E得点で観測されたものの、D得点では観測されませんでした。つまり、美しさのような主観的な評価において、バイアスがみられました。

そして、演技順が1つ後ろになるごとに0.008点ずつ点数が増える傾向が示されました。

0.008点というと一見小さく感じるかもしれません。しかし、体操競技は大会によっては100人ほどが演技することがあります(たとえば2021年の東京オリンピックでは80人ほどでした)。100人が演技すると、最初の選手と最後の選手で、0.8点ほどの違いが生まれます。

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