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「AIの存在におびえる人」は自分の価値を再考せよ 「人に必要とされないと嫌」思考がもたらす問題

東洋経済オンライン / 2024年7月5日 20時0分

※3 荘子(生没年未詳) 中国戦国時代(紀元前403─紀元前221年)の思想家。諸子百家のひとつ「道家」を代表する存在。司馬遷の『史記』によると、老子の思想を継承し、孔子を批判したとされるが、荘子のほうが老子に先立つ思想家だという説も有力視されている。その思想の根底にあるのは「斉物」という概念。現実の善悪や貴賤といったすべての価値観を超越視する、観念哲学の一種とされる。

落合:たしかに。荘子は人間中心主義ではないし、仏教もそうです。だから東さんとの対談では、僕は「もう人間はいいんだよ」という結論に達しました。僕は最初から、「人間とは何か」は本当にどうでもいいと思っている立場なんです。

暦本先生も、「人間拡張」※4というテーマを掲げているわりには、「人間とは何か」みたいな話はあまりされませんよね。

※4 人間拡張 人間の認知や身体能力の限界をテクノロジーによって超えようとする考え方。暦本は著書『妄想する頭 思考する手』(祥伝社)の中で、〈私が研究している「ヒューマン・コンピュータ・インタラクション」という分野は、人間と機械を「つなぐ」のがテーマだが、それは人間と機械の境目が曖昧になる、あるいは「なくなる」ことを意味している。「ヒューマン・コンピュータ・インテグレーション」と言ったほうが正確かもしれない。機械を自らの中に取り込むことによって、「人間」という概念がこれまでよりも広がる。それが、私の抱いている妄想の土台である「人間拡張(Human Augmentation)」だ。〉と述べている。

人間の要らない領域は増える

暦本:まあ、奥さんとも「人に興味がない」という話になったぐらいだから(笑)。あらためて自問すると、それほど興味がないかもしれないと思っています。

落合:人間拡張は、人間の補集合ですからね。

暦本:オートメーション社会になればなるほど、当然、人間の要らない領域は増えるじゃないですか。そのときに「やっぱり人間は必要だ」という立場と、「要らないなら要らないでオーケー」という立場では、発想がまったく違う。僕は、後者を原点にして考えたほうがいいと思うんです。自律分散型社会の要素として人間拡張があるイメージです。

それこそ餌が自動的に出てくるネコ社会では、「ネコとは何か」なんて自問しないでしょう。「人間に必要とされなくなったら餌がもらえない」とも考えない。

いま、多くの人が「自分が誰にも必要とされなくなったらどうしよう」と思い悩むのは、必要とされないと仕事がなくなり、最終的には飢えてしまうからですよね。そのリスクがなくなれば、「必要とされる人間でいたい」とも思わなくなるかもしれない。

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