コーラを日本一売った男の心に響いた店主の言葉 肌寒い日の飲料サンプリングに客の反応は鈍く
東洋経済オンライン / 2024年7月5日 20時30分
仕事は現場から考えないと、うまくいかないことが多いということが経験則としてありますので、逆にこちらからお願いして、会議のメンバーに加えていただきました。
そして会議の当日、現場担当者の皆さんからの報告です。生々しい報告が次々と上がってきます。そのなかで山梨の営業担当の小宮山さんの報告が私の耳に響きます。彼の営業をするうえでの基本的な言葉が、改めて私に問いかけてくれたのです。
「先週も同じオーナーから『もっともうけられる卸値にしてくれないと』と言われたので、『ウチの商品が他社よりも高いのにはちゃんとしたわけがあるのです。こうやってお店を訪問して、どうやったらもっと売れるのだろうかと、一緒に販促策を考えてくれるメーカーがほかにありますか。どんなに卸値が低くても、売れなくては意味がない。
私たちはお店に商品を買っていただくために働いているのではないのです。お店に来るお客さんが喜ぶ商品を提供して、それをもっと多くのお客さんにお店から買っていただくために、仕事をしているのです。
お客さんに買ってもらえるようにいろいろな活動をしているので、この卸値になるのは当たり前なのです。そこが一番大事ではないでしょうか』と、お話ししました」
まさしくその通りです。それではお客さんに買ってもらえる営業の仕事とはどんなことでしょうか。
飲料業界では新製品が発売される際によくプロモーションを行います。その1つにサンプリングという活動があります。量販店の一角に特設のブースを設けて、来店してくれたお客様に試飲してもらったり、試飲券を配って、新商品の認知度を高めていくのです。
コンビニエンスストア含めフランチャイズシステムで商売をしている店舗では、情報や販促資材が本部から提供されますが、お店に販促を支援する人が来て活動するといったことはまれです。
このため、店舗にとってはメーカーから人がやってきて、新商品が売れるようにアピールする活動は悪い話ではありません。
肌寒い曇天の日のサンプリング
今日はお茶の新商品が発売される初日です。
店頭に製品を並べてその横に置かれた氷の入ったボックスには試飲用のペットボトルがキンキンに冷えています。店の前を歩く通行人や駐車場に入ったクルマのドライバーに試飲していただき、認知度アップと次の購買に結び付けようという目論見で、朝早くからお店にやってきました。
ところがあいにくの曇り空。時折雨粒が落ちてきます。5月とはいえ肌寒ささえ感じる生憎の天気です。
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