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コーラを日本一売った男の心に響いた店主の言葉 肌寒い日の飲料サンプリングに客の反応は鈍く

東洋経済オンライン / 2024年7月5日 20時30分

その場で試飲してくれるお客さんはほとんどいません。サンプル品だけ受け取ってさっさと通り過ぎていきます。手渡ししようとすると断られることもあって、散々の状況です。

お昼を過ぎる頃になると、雨で濡れた頭をタオルで拭きながらのサンプリングとなり、新商品を店頭で紹介するという明るい感じではなく、ひたすら試飲用のサンプルを持って走り回るという状況です。

夕方になって片づけに入りますが、ひいき目に見てもよいイメージをお客さんに伝えられたかどうかわかりません。冷却ボックスを洗い、商品の入っていた段ボールを片づけて、店長に御礼を言うために事務所に向かいます。

「今日は、どうもありがとうございました。もう少しといった感じでしたね。申し訳ありません」

お礼とあわせて、あまり芳しくない手応えを詫びて事務所をあとにしようとすると、お店を手伝っている店長のお母さんが声をかけてくれました。

お店のために頑張ってくれる

「もう少しなんかじゃないわよ。今日1日お疲れ様。この前の他の会社から新商品の店頭試飲で来ていた人なんて、ほとんどいすに座って、お客さんが前を通ったら、立ち上がって試飲のサンプルを手渡しするくらいだったわよ。いい天気だったから、ゆっくり座りたくなるのもわからないではないけど、どうなのかしらね。

それに比べて、今日は天気も悪いし、お客さんも少なかったけど、あなたは1日中走り回って、1人ひとりに声をかけていたじゃない。新商品の試飲会だから、たくさんのお客さんに上手くアピールできるに越したことはないけど、それよりも一生懸命お店のために頑張ってくれることがうれしいのよ。

この前の会社の人なんかよりもよかったよ。これからちゃんと売ってあげるからね」

新商品の試飲サンプリング企画の趣旨は、次に買ってもらえるように商品のよさを伝え、飲んでいただくことでその理解を図ることが主な目的ですが、この日はそれが十分にできたとは言い難い状況でした。

しかし、お店の方が見ているのは、私たちの1つひとつの行動です。

確かにお店にとって有利な条件は大切です。そのままお店の利益に反映されるので当然のことですが、お店にとって条件を上回るほど大事になるのが、営業担当者の行動です。

店長のお母さんの最後の言葉が改めてそのことを教えてくれました。

※本文に登場する人物名、店名などは、実名・仮名を適宜使い分けています。

山岡 彰彦:株式会社アクセルレイト21代表取締役社長

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