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池上彰が「国公立大学の無償化」を提言する理由 "Fラン"大学は淘汰、専門職大学は増加と予測

東洋経済オンライン / 2024年7月5日 19時30分

「無償化」や「奨学金」など教育にまつわるお金の課題は議論が絶えません(画像:Inkoly / PIXTA)

たった16年で社会は大きく変わります。16年後の2040年、日本はこれまでの私たちの経験からくる想像が全く通用しない未来を迎えているかもしれません。その意味でも、いま重要なのは、未来を生きる子どもたちの「教育」です。しかし今の日本の教育においては、さまざまな問題が取り沙汰されています。

本稿では、ジャーナリスト・池上彰氏の新著『池上彰の未来予測 After 2040』より一部を抜粋し、教育とお金について考えます。

【前記事】池上彰が警告「時代に乗り遅れた」日本企業の末路

高校まで義務教育・無償にしないと未来は暗い

教養が必要なのは万国共通ですが、教育制度は、国によっていろいろと違います。

【画像】優秀な学生は日本脱出? 池上彰氏が考える教育の「暗い未来」をイラストで

日本の小・中・高校が6・3・3制になったのは、第二次世界大戦後日本を占領したGHQで教育担当だった人物が、自分のふるさとの州の6・3・3制を導入したからで、たまたまです。アメリカは州によって教育制度が違います。

日本は小・中学校の9年間が義務教育かつ無償期間ですが、お隣の韓国は義務教育期間が日本と同じ一方で、保育園・幼稚園から中学校までが無償期間、さらに高校も無償化されています。

イギリスは6・5・2制で、義務教育は5歳からの11年間、公立学校の無償期間は13年間です。フランスは3・5・4・3制で、3歳からの13年間が義務教育で、幼稚園や大学などすべての公立学校が無償です。

日本の高校授業料の無償化も2010年度から始まっていますが、一律ではありません。国が所得制限を設けて、世帯年収910万円未満の世帯を対象に公立の授業料にあたる年11万8800円を補助し、私立の場合は所得に応じて補助が増額されるという形になっています。

しかし今や、高校進学率は98.9パーセント(2022年)です。少子高齢化が進む日本を背負う子どもたちへ平等に投資するという観点で、高校までは義務教育にし、授業料は世帯年収にかかわらず一律無償化すべきでしょう。

東京都と大阪府は、世帯年収の上限を撤廃し高校の授業料を実質無償化することを決定しました。「すべての子どもに学校選択の機会を広げるため」としていて、まさにもっともな理由です。

東京や大阪などの都市部は、地方に比べて平均世帯年収が高いとはいえ、近年の物価高騰や都市部の住宅価格の高騰により、子育て世帯の家計負担は増しています。

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