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サハリン島「ギネス級に親切」おじさんと北の果て 稚内からフェリーで5時間半、さらに1000キロ

東洋経済オンライン / 2024年7月5日 17時0分

「あ、そう。でもね、道路の半分は未舗装みたい」

えっ? ということは日本にあてはめると、東京から九州まで砂利だか土だかを走るってこと? そ、それはどうだろう?

〝軽〟の分際で、そんなドライブが許されるんだろうか? パンクひとつでピンチじゃん。

「しかもね、途中、町とか村がほとんどないみたい」

ってことは、もし故障したら、次の村まで300キロくらい歩かなくてはならんとか、そんな目に遭ったりするの?

なんだか、いきなり命がけになってきたけれど、いったい未舗装ってどんな道なんだろうってネットで写真を検索したら、砂利や瓦礫より物騒なモノがこっちを見ていた。

クマ。

北海道のより、食い意地が張ってそうな肉食系な顔。それでいて邪気のないお目々。 Yuko、最北端を目指すにあたって注意事項を決めておこう。

「森のなかで、車中泊をしないこと」

目標はサハリン島の北の果て

あと、故障だけは勘弁!ってことで。ところで、道の端っこには何があるの?

「それがね、何もないみたい。道は海まで届いてなくて、中途半端に切れてる」

道は半島の真ん中でぶちっと終わっていた。山や川や村があるわけでもないのに。はて、なんでだろう?

これまでの端っこ体験からすると、たいていの端は公園になっていた。

たとえば、南米大陸の道の最南端は公園のモニュメントだった。でも地図帳を頼りに奥まで攻めたら、町外れの一軒家にぶつかった。

サハリン島の最北端も、どうしてこんなところに家が?みたいな民家かもしれない。村八分にあった嫌われ者の家かもしれない。しれないけれど、単なる嫌われ者を目指すとなると2000キロも走る気になれないから(その半分は未舗装でクマがいる)、ここはぐっと想像をてんこ盛りにして、夢とか意義とか、怖くない程度にミステリアスがほしい。

巨大なウォールが立ちはだかっているとか、触ると呪われる御神木があるとか、この際、奇人や変態でもいい。なんにしろ地図には載せられない何かが道を塞いでいて、ロシア人が隠しているのは間違いない、のだから。

サハリン島の北の果てに、いったいどんな秘密があるというのだろうか?

謎なき謎を解き明かして、その地を「マイ秘境」と呼ぶのもまたボクらの旅のスタイルである。マイ秘境とは、ボクらしか知らない景勝地、いわくありげな土地のことである。自分でハンドルを握る旅ともなると、道中の99%は名も知れぬ土地を走り、名もないどこかで飯を食べることになる。が、そこを無名と片付けず、ほどよい理屈をくっつけることによって、なかなか良いところではないか、飯が美味いではないかと感動し、わが家の秘境とするのである。

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