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トヨタ「価格競争に突入」で懸念される先行き BYD対抗セールを実施するも厳しい中国事業

東洋経済オンライン / 2024年7月5日 10時30分

経営規模の縮小や主力モデルの競争力の低下などを勘案すれば、2024年通年の販売台数は100万台近辺に落ち込む可能性がある。そうなれば販売台数は、ピークとなった2020年の約4割減だ。

日産は、前年同期比1.0%減の28.6万台となり、底入れ感が出てきた。中国市場で67%を占めているセダンの「シルフィ」とSUVの「キャシュカイ」を値下げし、販売台数を維持している。

価格競争に巻き込まれると、継続的に値下げすることになるだろう。とはいえ、地場ブランドNEVのコスパに太刀打ちできない中、さらなる値下げはあまり現実ではない。今年6月には、年産13万台の常州工場を閉鎖し、余剰生産能力の削減を図っている。

では、トヨタの状況はどうだろうか。トヨタは、HEVの豊富なラインナップを強みとし、中間所得層以上の消費者を中心として買い替えニーズを満たしてきた。特に一汽トヨタ「カローラ」と広汽トヨタ「レビン」が、大衆向けセダン市場のロングセラーとしてトヨタの販売台数を支えている。

しかし、BYDが2023年2月に発売したPHEVのコンパクトセダン、「秦PLUS DM-i」チャンピオンバージョンは、カローラと同様の価格帯で販売し、2024年モデルの「秦PLUS DM-i」はカローラより3割も安くなっている。

大衆向けセダンで苦戦する中、トヨタは最新のHEVシステムである「第5世代THS」を搭載した小型クロスオーバーSUV、「カローラクロス」および姉妹車の「フロントランダー」を投入し、セダン販売の減少分を埋めようとしている。

実際、2023年のカローラの販売台数は17.6万台で、2020年比14万台減だった一方で、2022年発売したカローラクロスは14.6万台となった。また、広汽トヨタにおいては、レビンの低迷に対しフロントランダーが前年比2倍の19.7万台を販売し、好調だ。

こうした製品戦略により、トヨタは2021年以降、年間190万台を超える販売台数を記録し、中国進出以来のもっとも高い水準を維持している。

トヨタにかかる2つの懸念

しかし、2024年はトヨタにも暗雲が立ち込める。熾烈な価格競争の影響で、2024年1~5月の販売台数(レクサスを含む)は前年同期比10.3%減の63.2万台。そのうち、一汽トヨタと広汽トヨタは、それぞれ12.4%減、14.8%減となっているのだ。

系列の部品サプライヤーとディーラーの収益を維持するためには、一定規模の販売台数が必要である。そこでトヨタは、カローラクロスとフロントランダーの価格を“10万元切り”の水準まで値下げし、中国勢に対抗しようとしている。

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