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TVマン見た「マジで秘境」チベット仏教の村(後編) 「チベットの聖地」でラマが教える"瞑想"の秘訣

東洋経済オンライン / 2024年7月6日 12時2分

シャクシュカはとても美味しく、日本の表参道あたりでお店を出したら流行るかもしれないとさえ思えた。そして、この村でトマトの栽培が行われているということがわかった。

伝統的なチベット建築の家並みが続く

それから、2人で村の中心にあるナコ湖へと向かった。途中、迷路のように入り組んだ路地を抜けると、老朽化した石造りの民家が密集して立ち並んでいた。

これらの民家は、カザ村やムド村とは異なり、伝統的なチベットの建築様式で造られていると昨夜の雑談で聞いた。

ナコ村はインドの都市部から陸路での移動が困難なヒマラヤの最奥地にあり、その反対側には、中国との国境線にそびえる標高6791メートルのレオ・プルギル山がある。

この孤立した地理的条件が幸いし、インドや中国からほとんど影響を受けていない伝統的なチベット文化が、まるで時間が止まったかのように今もなお生き続けている。

まさに、オリジナルのチベット文化を後世に伝えるための重要な歴史遺産に違いない。

その住宅街の中を歩いていると、石を積み上げた高さ3メートルほどの古い円錐形の塔が目に入った。頂上辺りの塗装は剥げ落ち、長い年月、風雨に晒されているのがわかる。

「チョルテン」と呼ばれるこの塔は、高僧の遺物が収められている仏塔だった。民家が密集する住宅地の真ん中にあることからも、村人たちの日常生活に信仰が深く根ざしていることがわかる。

厳しい大自然に晒され、徐々に風化していくその姿は、まるで仏教の諸行無常を体現しているかのようだった。

世のすべてのものは常に流転し、変化し、そして消滅していく。

もしかすると、村全体が老朽化しているように感じたのは、古くなった家屋を新しいものに建て替えるのではなく、崩れ落ちていく様を、万物の真理としてそのまま受け入れているからかもしれない。

チベット仏教の村にある神聖な湖

住宅街を抜けると、小さな湖が目に飛び込んできた。ナコ湖だ。

意外と小ぶりな湖で、その周囲にはチベット文字が刻まれた平らな石が積み上げられていた。これらはマニ石と呼ばれ、チベット仏教の経文や祈願文が刻まれた信仰の対象だ。

そのことから、ナコ湖がこの村の人々にとって、ただの水源としてではなく、神聖な役割をはたしていることを理解した。

やはり、この村は面白い。知れば知るほど興味が湧いてくる。

俺は夢中になって村を隅々まで観察した。こんな経験はなかなかできない。

「ごっつさん、山に行きません? 上の方に何かが見えます」

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