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TVマン見た「マジで秘境」チベット仏教の村(後編) 「チベットの聖地」でラマが教える"瞑想"の秘訣

東洋経済オンライン / 2024年7月6日 12時2分

テレビディレクターの取材魂に火がついてしまった。好奇心という名の「煩悩」が、剥き出しになる。

「そうだね。私の場合は、眉毛と眉毛の間の部分にブッダの顔をイメージするんだ。それでも煩悩が出てくるときもあるけど、結構うまくいくことが多いよ」

邪念が浮かび瞑想どころじゃない

「どんなブッダの顔を思い浮かべればいいですか?」

「君が知っているブッダの顔ならなんでもいいよ。別にブッダでなくてもいい。おでこに君が集中できそうな何かをイメージすれば、上手に瞑想状態に入れると思う。私の場合は僧侶だから、たまたまブッダを思い浮かべるだけだよ」

脳内で自分が知っているブッダを考えてみたが、スラムダンクのホワイトブッダ、安西先生しか思いつかなかった。だが、高校バスケ部時代のキツイ合宿を思い出し、瞑想どころではない。

「そうなんですね。頑張ります」

そう答えると、彼は仏様のような笑顔を見せた。

「まぁ、そんなに意気込まなくても大丈夫だよ。気が向いたときに瞑想をすればいい。その代わり、長く続けることだけは忘れないでね」

ヒマラヤの奥地にある神聖なるゴンパで修行する僧侶だから、厳格で難しい人をイメージしていたが、とても気さくで、包み込むような優しさを感じた。そして、とても自然で素敵な笑顔を見せる人だった。

それから、2人でゴンパの周りを探索していると、少し離れた場所に四方をタルチョで囲まれた吹きさらしの建物を見つけた。

足場の悪い崖道を歩いていくと、そこにはまるで日本のお寺の鐘つき堂のようなものがあった。しかし、鐘だと思ったものはそうでなく、黄金の円柱が吊るされていた。表面にはチベット文字が刻まれている。

大自然とマントラの力が村を守る

それは、マニ車と呼ばれるもので、内部には「オム・マニ・ペメ・フム」などのマントラ(経文)が書かれた巻物や紙が収められている。

回ることでマントラを唱えるのと同じ効果があるとされる祈祷具。

マニ車の上下四方に銀色のお皿が設置されていて、その皿が風を受けると、同期された円柱がくるくると回転する。シンプルだけどよく考えられた構造だ。

マニ車からは、遠くにある神々しい山々とナコ村が一望できる。

大自然の風の力により回転することで、マントラが唱えられ、魂の浄化と厄災から村を守ってほしいという、住民たちの平穏への願いが込められているのだろう。

「ごっつさん見てください。大きな鳥です」

カナさんが上空に舞う、一羽の大きな鳥を指差した。

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