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TVマン見た「マジで秘境」チベット仏教の村(後編) 「チベットの聖地」でラマが教える"瞑想"の秘訣

東洋経済オンライン / 2024年7月6日 12時2分

湖畔から山の斜面を見つめると、岩山の途中に小さな建物とタルチョがはためいている。

それから、2人で崖道を登った。ナコ村は標高3662メートルに位置しているので、わずかな斜面でも歩くと息があがる。

高台からナコの人々を見守る修道院

しかし、山ガールのカナさんは、相変わらず余裕な足取りで淡々と登っている。

途中、彼女が高山の岩峰に根を下ろす珍しい植物の写真を撮っている間に、なんとか追いつくことができた。

山の上にあった建物はチベットゴンパ(修道院)だった。それはナコゴンパと呼ばれる11世紀に建立されたこの辺りの仏教徒たちの聖地。木と石を使った建築様式で造られ、山の上からナコの人々を見守っているようにも感じられた。

「君たち、どこの国の人?」

小豆色の袈裟をまとった、40代くらいの優しげな顔をしたメガネをかけた僧侶が話しかけてきた。英語は少々ぎこちなかったが、コミュニケーションをとるには問題ない。

「日本人です」

「そんな遠い国から、お越しくださったとは。ありがたい」

彼は、長年ここに住み込み、修行をしている僧侶であるという。それから、寺の中にある仏像や壁画、フレスコ画を見ながらチベット仏教の歴史や哲学などを丁寧に教えてくれた。

聖地で学んだ僧侶に瞑想の極意を聞く

ナコゴンパは偉大な翻訳家リンチェン・サンポによって創設された100以上のゴンパの1つで、その中でもかなり重要な役割を果たしている。

10世紀に生まれたリンチェン・サンポは仏教の経典をサンスクリット語からチベット語に翻訳し、それにより、ヒマラヤ地域に仏教を普及させたチベット仏教の歴史における重要人物である。

神聖なる場所で修行する僧侶から学ぶ機会は滅多にない。危険を冒し、ヒマラヤの奥地でつかんだこの偶然のチャンスを逃すまいと、以前から気になっていたことを尋ねてみた。

「すみません、実は瞑想が得意ではないのです。南インドのヨガアシュラムで1カ月ほど修行したのですが、どうしても瞑想中に余計なことを考えてしまいます。何かいい方法はないでしょうか」

すると、僧侶は笑みを浮かべて答えた。

「実は私もちゃんと瞑想ができなくてね。もう30年以上毎日やっているんだけど、なかなか難しいよね」

30年以上も毎日瞑想をしていてできないなんて、謙虚すぎると思った。彼はきっと、秘訣などを知っているに違いない。

「何かうまくいく方法はないですかね。ご自身がうまくいった経験などでいいんで教えていただけませんか?」

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