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東京の「出生率0.99」を騒ぐ人に欠けている視点 若者はお金がなく婚姻数の減少が加速していく

東洋経済オンライン / 2024年7月6日 8時50分

(撮影:今井康一)

6月5日に発表された厚労省の2023年人口動態統計概数値において、日本全体の合計特殊出生率が1.20、東京都に至っては、0.99になったことが大きな話題となりました。

【画像でわかる】東京は未婚率も高いが、婚姻率も高い

2023年に限らず、東京の同出生率は都道府県別では長らく最下位が定位置です。ただでさえ、日本全体の少子化とは、東京が大きく足を引っ張っていると思われるかもしれません。

しかし、この合計特殊出生率だけを取り上げて、少子化について語るのは妥当ではありません。

合計特殊出生率を勘違いしている人も

合計特殊出生率とは、49歳までの年齢を対象とし、1人の女性が生涯に産む子どもの数とされているものですが、多くの人がいまだに勘違いしていることがあります。1人の女性が生涯に産む子どもの数であることはその通りですが、子どもを産んだ女性(母親)が何人子どもを産んでいるかという数字とは違います。

合計特殊出生率計算式の分母には、未婚や既婚無子の女性も含みますので、未婚率や無子率があがれば、その数字は自動的に減ることになります。

出生動向基本調査には、完結出生児数という指標もあります。これは結婚持続期間が15~19年の初婚同士の夫婦の平均出生子供数を表したものですが、2021年時点で1.90人です。

また、同じく出生動向基本調査から、結婚継続期間にかかわらず49歳までに1人以上出産した母親だけを対象として、平均出生子ども数を計算すると、2021年時点で2.02人となります。

徐々に減少しているとはいえ、少なくとも結婚して1人以上の子を産んだ母親は、今でも平均して約2人は産んでいることになります。

少子化や低出生率の根本的な原因

合計特殊出生率をあげるにはふたつの方向があります。ひとつは、有配偶女性の出生率をあげること。もうひとつは未婚率を下げることです。

前者には、有配偶出生率という指標があります。これの長期推移を見ると、実は1990年から2015年にかけて有配偶出生率は右肩上がりに増加していました。

2015年の80.5という数字は、1970年代後半とあまり変わらないくらい、1人の有配偶女性の産む子どもの数は増えていたわけです。2020年に若干さがりましたが、それでも結婚した女性が産む子どもの数は1980年代と比べても見劣りしませんし、ここをこれ以上あげていくというのも限界があるでしょう。

後者の未婚率を下げることとは、婚姻数を増やすことと同義です。そもそも、東京の合計特殊出生率が低いのは、それだけ他道府県と比較して未婚率が高いということでもあります。事実、2020年の女性の生涯未婚率も東京がトップです。

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