泉・立憲民主代表の交代論がささやかれるワケ 都知事選敗北なら責任論拡大、険しさ増す前途
東洋経済オンライン / 2024年7月6日 9時30分
9月末に任期満了となる立憲民主党・泉健太代表の交代論が、永田町で急拡大している。泉氏自身は再選への意欲をにじませるが、9月の代表選は次期衆院選での政権交代をにらんでの党首選びとなるだけに、同党幹部の間で「経験不足の泉氏は、首相候補としての資質に欠ける」との声が相次ぐからだ。
6月下旬に閉幕した「裏金国会」での自民党の右往左往ぶりと、野党第1党を狙う日本維新の会の迷走が、立憲民主への強い追い風となり、5月連休中の衆院補欠選挙や静岡県知事選など各種首長選でも連戦連勝し、政権交代への国民の期待も高まっていた。その一方で、野党選挙協力などを巡る泉氏の指導力不足も目立つことで、同党内では、野田佳彦元首相や枝野幸男元官房長官ら経験豊富な実力者の代表選出馬に期待する声も広がる。
そうした中、蓮舫・元民進党代表の擁立で大勝負を仕掛けた東京都知事選(7月7日投開票)で、結果的に小池百合子都知事の圧勝を許し、「第3の候補」の石丸伸二・前広島県安芸高田市長との2位争いともなれば、泉氏の代表再選への大きな痛手となるのは避けられず、「党全体が固唾をのんで結果を見守る状況」(閣僚経験者)だ。
「代表としての資質に欠ける」との声も
泉氏は6月28日の記者会見で、「今は総選挙に向けた準備をしている。(代表選は)まだ考える時期ではない」と、あえて再選出馬についての明言を避けた。その一方で、7、8月は衆院選をにらんだ全国行脚を展開し、地方議員らとの交流も重ねることで、代表選での地方票固めにつなげる構えも。
そもそも泉氏は、2021年11月に枝野幸男前代表の後任として代表に就任したが、2022年参院選で6議席減の敗北を喫するなど、厳しい党運営が続いてきた。しかし、自民党の裏金事件で状況が一変、今年4月の衆院3補選の全勝などで勢いづき、国民の期待の高まりで政党支持率も維新を大きく引き離し、野党第1党として地歩を固めている。
ただ、そうした状況変化についても、党内では「あくまで自民や維新の敵失によるもの」(幹部)との冷めた見方が大勢。前回代表選で泉氏を支持した実力者の小沢一郎氏も、ここにきて野党間で衆院選候補者の調整が進まないことに強い不満を示し、「代表交代論」を唱えている。
その背景には、党内に泉氏の経験不足を指摘する声が多い。泉氏は衆院当選8回のベテラン議員だが、旧民主党政権下での閣僚経験はゼロ。さらに、代表就任後も、「党・国会運営は、岡田克也幹事長と安住淳国対委員長に頼りっぱなしで、代表としての統率力や求心力に欠ける」(国対幹部)との批判が絶えないからだ。
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