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アメリカ大統領選挙でバイデン氏は撤退するのか 民主党は「皆が納得する新候補者」を選べるか?

東洋経済オンライン / 2024年7月6日 9時30分

バイデンさんはその翌日、選挙資金集めのためにノースカロライナ州で集会を行い、「私はもう自分が若くないと知っている。以前ほどスムーズに話せないし、以前ほどうまく討論もできない。ただ、私は真実を伝える方法を知っている」と訴えた。みずからの老いを正直に認める感動的なスピーチであった。

ただしバイデンさん、3月の一般教書演説でもそうだったが、いい演説をするにはテレプロンプターの助けが必要な人なのだ。当意即妙な受け答えは得意ではない。その証拠に、バイデンさんが記者会見やメディアインタビューを受けた回数はこれまでに164回。同じ時期のトランプ大統領の468回、オバマ大統領の570回に比べればはるかに少ないのだ。

さらにバイデンさんは、仮に11月にトランプさんに勝てたとしても、向こう4年間も大統領職を務めていただく必要がある。任期を終えるときには86歳になっている。あんな覚束ない調子で、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領や中国の習近平主席や北朝鮮の金正恩総書記の相手ができるのだろうか。トランプさんだけが敵ではないのである。

今のところバラク・オバマ元大統領を筆頭に、民主党内の重鎮たちは「バイデン擁護」の構えである。

これは理解できるところで、今からの候補者差し替えには相当なリスクを伴う。何より時間が足りないし、若くて活きのいい候補者に変えたところで、知名度が浸透しなかったり、新たなスキャンダルが飛び出したりしたら目も当てられない。

いや、それ以上に党内に亀裂が入る恐れがある。以前の当欄で「バイデン政権を悩ます『悪夢の1968年シナリオ』」(5月11日配信) をご紹介したが、あの年も現職のリンドン・ジョンソン大統領が不出馬宣言を行ったことで、民主党内はまとまり切れずに共和党のニクソン候補に敗れたのであった。

ちなみに今後の政治日程は以下のようになっている。

7月9~11日 NATO首脳会議(ワシントンD.C.)
7月15~18日 共和党全国大会(ウィスコンシン州ミルウォーキー)
7月24日 イスラエルのネタニヤフ首相が訪米し、議会合同演説を実施
7月26日 パリ五輪開会式(~8月11日まで)
8月7日 候補者差し替えの場合の事実上の締め切り
8月19~22日 民主党全国大会(イリノイ州シカゴ)
9月10日 第2回テレビ討論会(ABC)
11月5日 アメリカ大統領選挙・連邦議会選挙投票日

仮にバイデンさんが自発的に再選不出馬を宣言したとしても、新たな候補者を選ぶための時間は1カ月程度しか残されていない。その間に皆が納得する新候補者を選出して、その下で新たなブームを起こせるか。その上でトランプ前大統領を倒せるのか。ここまで来ると、「進むも地獄、退くも地獄」みたいな状況である。

民主党の「選挙の弱い議員」で「バイデンおろし」?

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