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鉄道現場で初稼働、JR西「人型ロボ」量産化なるか JR各社への横展開、他産業への拡販もにらむ

東洋経済オンライン / 2024年7月8日 7時30分

JR西日本が鉄道メンテナンスの現場に投入した人型重機と同社の長谷川一明社長(記者撮影)

JR西日本、日本信号、ロボットベンチャー企業の人機一体の3社が共同開発する多機能型鉄道作業用重機が、実際の鉄道設備メンテナンスの現場で本格稼働を始めた。主として墜落、感電などの危険を伴う高所での作業に用いられ、人手に頼る作業を機械に置き換えることで、労働災害ゼロを目指すほか、顕在化する労働不足にも対応する。

【写真を見る】JR西日本の多機能型鉄道作業用重機、いったいどんな「人型ロボ」なのか?

高所の塗装や伐採に投入

国内の産業を見渡せば、高所作業にロボットを活用しようという試みはJR西日本が初めてではない。たとえば、北陸電力は大学などと共同開発した配電工事用ロボット「アシストアーム」を導入し、高所作業ではロボットが作業員の乗ったカゴに設置され、作業員の補助作業を行う。しかし、その形状は人型ではない。JR西日本は、工事現場などでの肉体労働で人間の作業を代替するなら人型がよいのではないかと考えた。そそんなとき目に留まったのが人型のロボットを開発する人機一体だった。

これまでは人機一体が製造した人型の試作機「零式人機」が展示会などでデモンストレーションを行っていたが、あくまで試作機であり連日のように屋外で活用することは想定していない。そこで、日本信号が製品化を前提としたバージョンを完成させた。7月から京阪神エリアにおける鉄道の現場で架線支持物の塗装や支障をきたす樹木の伐採といった作業を行っている。

【写真】JR西日本の多機能型鉄道作業用重機、いったいどんな「人型ロボ」なのか?

2本の腕で高さ12mまでの高所作業が可能。最大40kgの物を持ち上げられ、腕先はチェーンソーやブラシなどに交換することでさまざまな作業に対応する。従来の塗装作業は1チーム5人で行っていたが、使用開始後は3人で対応可能。同様に伐採作業は従来の3人から2人に減る。

この重機は大型アームに取り付けられた人型の重機、コックピット、鉄道工事用車両から構成される。車両は道路と線路の両方を走行可能。現場に到着すると作業員はコックピットに乗り込み、アームを動かして人型重機を遠隔操作する。人型重機にはカメラが搭載されており、作業員が装着するVRゴーグルを通してロボット目線での遠隔操作が可能だ。操縦レバーには人型重機がつかんだ物の重さや感触も伝わる仕組みで、JR西日本の長谷川一明社長は「自分で作業しているような直感的な操作ができる」と胸を張る。

「多機能型鉄道作業用重機」愛称は?

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