ワームホールやワープドライブの科学的可能性 タイムトラベルから見る「時間」とは?
東洋経済オンライン / 2024年7月10日 17時30分
異なる時空をつなぐワームホール。
エンタメ作品では、トンネルのような抜け道を通じて、登場人物たちが過去や未来を行き来する様子が描かれます。
「現実には存在しえないのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、物理学者の中にはワームホールについて真剣に研究している人が少なからずいるのです。
そんなロマンあふれる科学の不思議について、サイエンスライターの吉田伸夫氏による最新刊『「時間」はなぜ存在するのか』を通して見ていきましょう。
実際の学説とどのような関係にあるのか
SF(サイエンス・フィクション、スペキュレイティブ・フィクション)と呼ばれる創作のジャンルでは、テレポーテーション(瞬間移動)やタイムトラベル(時間旅行)などのギミックが重要な役割を果たすことがあります。こうした設定は、通常はプロットを成立させるための便法であり、科学的な裏付けは必要ありません。
例えば、アルフレッド・ベスターのSF小説『虎よ、虎よ!』は、デュマの『モンテ・クリスト伯』を下敷きにした宇宙規模の復讐劇であり、過激な物語をスピーディに展開するうえで、科学的な合理性を無視して「精神力による瞬間移動」を使うのが効果的でした。
しかし、リアリティを担保するために科学の装いをまとわせている作品もあり、実際の学説とどのような関係にあるのか気になる人もいるでしょう。
場の理論を前提にするならば、あらゆる現象は時間・空間の広がりの中を連続的に伝わっていきます。もちろん、場の理論が絶対に正しいとは限りませんが、今のところ、かなり信頼できる仮説であり、これを基に考えを進めるのが有用であることは確かです。
場の理論は、古くから人類が思い描いてきた夢想に、厳しい制約を付けます。
人々は、一瞬にして遠い異国や過去・未来に移動するファンタジーを語ってきました。しかし、時間や空間のかけ離れた地点にいきなり移動することは、現代の物理学では容認されません。出発点と到達点をつなぐ経路に沿って、連続的に進んでいく必要があります。
まず、空間的な移動に目を向けましょう。ある地点で物体が消滅し、別の地点に再出現するという意味でのテレポーテーションは、理論的に不可能だとされます。
最先端科学の紹介記事に、「量子テレポーテーション」という言葉が登場することもありますが、これは、目的地にあらかじめ物体を送っておき、どんな状態で送られたかを遠方で瞬時に知るための技術であり、物体そのものが瞬間移動する訳ではありません。
この記事に関連するニュース
-
サブカルチャーは時間遡行をどう描いたのか? SF作品から「時間の流れ」について考える
東洋経済オンライン / 2024年7月7日 19時0分
-
ワープ航法は重力波を出す? 「アルクビエレ・ドライブ」の解析で判明
sorae.jp / 2024年7月4日 21時4分
-
タイムパラドクス問題の現在(上) 「タイムトラベル論争」も時間の問題?その4
Japan In-depth / 2024年6月30日 12時8分
-
【予約開始直後にAmazonランキング第1位!】カルフォルニア大学バークレー校教授野村泰紀氏の最新刊『なぜ重力は存在するのか』を発売!
PR TIMES / 2024年6月28日 17時40分
-
時間旅行は一方通行?(上)「タイムトラベル論争」も時間の問題?その2
Japan In-depth / 2024年6月24日 21時0分
ランキング
-
1ドラマ「西園寺さん」ヒットの予感しかない3理由 「逃げ恥」「家政夫ナギサさん」に続く良作となるか
東洋経済オンライン / 2024年7月16日 20時0分
-
2「これは奇跡...」破格の1人前"550円"寿司ランチ。もうこれ毎日通いたい美味しさ...。《編集部レポ》
東京バーゲンマニア / 2024年7月16日 7時2分
-
3月々のスマホ代を「高いと感じる」…「2000円もすることに驚いた」「安いプランなのに高い」格安プランに乗り換える?
まいどなニュース / 2024年7月16日 19時45分
-
4丁寧な言葉遣いで一見おとなしい人ほど陰湿攻撃がエグい…「目に見えない攻撃」を繰り出す人「6パターン」
プレジデントオンライン / 2024年7月16日 15時15分
-
5夏本番となり職場や電車内などで発生する「ニオイ問題」 揉めるぐらいなら我慢したほうがいいのか、解決策は「ない」という現実
NEWSポストセブン / 2024年7月16日 16時15分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください