1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

ワームホールやワープドライブの科学的可能性 タイムトラベルから見る「時間」とは?

東洋経済オンライン / 2024年7月10日 17時30分

宇宙を舞台にしたSFの場合、しばしば「ワープ」と呼ばれる特殊な高速航法で、宇宙船が遠方の星系へと移動しますが、このワープが実現される可能性はあるのでしょうか?

一つのアイデアとして、ワームホールを利用したワープが提案されています。

ニュートン力学ならば、常にユークリッド幾何学だけが成り立つ空間しか想定されておらず、2つの点を結ぶ最短経路は直線に限られます。ところが、一般相対論になると、時空はもっと自由に変形させることが可能になります。

宇宙空間は3次元の球面と考えたアインシュタイン

アインシュタインが1917年に考案した宇宙模型は、空間が球面構造をしているというものでした。ふつうの人が考える球面は、地球の表面のような2次元の世界です。ところが、アインシュタインは、宇宙空間が3次元の球面だと考えたのです。

この3次元球面は、狭い範囲だけなら(地球の表面が部分的には平面に見えるのと同じく)3次元のユークリッド空間のように見えるのに、ある方向にまっすぐ進んでいくと、(ちょうどマゼランの艦隊が地球を一周したように)宇宙を一周していつの間にか元の地点に戻ってくるというものです。天の北極(北極星の方向)と南極に向かって逆方向に進む2隻の宇宙船があったとすると、互いに充分に遠ざかったと思ったら、突然、別れたはずの相手が正面に現れます。

アインシュタインのモデルでは、宇宙全体がユークリッド空間とは異なる構造をしていますが、ワームホールは、こうした非ユークリッド的な構造が局所的に形成されたものです。広い範囲をざっと眺めるとユークリッド幾何学が成り立つように見えるけれども、ある部分に注目すると、離れた2点を直線よりも短距離でつなぐ抜け道が隠されているのです。このつながった部分が、宇宙空間の中に生じたワームホール(虫食い穴)です。ワームホールは、ユークリッド幾何学を逸脱した特殊な構造ですが、一般相対論の式を用いて議論することが可能です。

映画『インターステラー』のワームホール

ワームホールが視覚的に描かれたのが、2014年のアメリカ映画『インターステラー』です。ワームホールの端がどうなっているか理論的に確定していませんが、あるモデルでは、外からはブラックホールのように見えるとされます。

ブラックホールは光すら脱出できない天体であり、真っ黒な球体のように見えます(2019年に撮影されたブラックホールの写真は、周囲がリング状に輝いていますが、これは、背後にある天体からの光がブラックホールの重力で曲げられたものです)。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください