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「カフェふくろう」がお手本、認知症の人の働き方 「社会参加型の介護施設」目指す新たな取り組み

東洋経済オンライン / 2024年7月10日 14時0分

デイサービス福老が営むカフェで人気の「おにぎらず」(写真:株式会社ロングリバー提供)

性別や年齢、障害の有無などが異なる、さまざまな人がありのままで参画できる「インクルーシブ(inclusive)な社会」とは……。医療ジャーナリストで介護福祉士の福原麻希さんが、その糸口を探っていきます。【連載第20回】

認知症と診断されたら、急に周囲から「何もしなくていいよ。座ってて」と言われるようになったと、当事者から聞くことがある。認知症になると「何もできない」「何もわからない」という、極端な誤解と偏見が社会に根強いからだが、決してそんなことはない。

【写真で見る】デイサービス福老が営むカフェの名物おにぎらず。「プリップリエビフライとタルタルソース」「アボガドとサーモンのミルフィーユ」など、8種類ある

今回は、介護保険制度のデイサービス(通所介護)や特別養護老人ホームなど、利用者が地域で「働くこと」に取り組んでいる様子を紹介する。

にぎらないおにぎりカフェ

福島県いわき市にカフェ「にぎらないおにぎりカフェふくろう」がある。ここはデイサービス福老(ふくろう:BLGいわき)の1階にあり、要介護の利用者が調理や接客をしている。

利用者は送迎車で来所し、健康チェック(体温や血圧の測定)を受ける。軽く雑談したあと、9時半になると同時にお揃いのエプロンを着けて、カフェでの仕事を始める。

掃除機をかける人、テーブルを拭く人、野菜を刻む人、から揚げを作る人、小鉢を作る人……。それぞれがルーチンの仕事に入っていく。

カフェのオープンは11時で、14時半まで開いている。13時までのランチタイムはお客さんでにぎわう。

メニューは、おにぎらずランチ、お子様ランチ、から揚げ食べ放題の3種類。おにぎらずとは握らないおにぎりのことで、「プリップリエビフライとタルタルソース」「アボガドとサーモンのミルフィーユ」など、8種類ある。

テイクアウトもでき、最近では弁当の注文も受けている。

デイサービス福老(以下、福老)の利用登録者数は18人(男性4人、女性14人*取材時)で、年代は50代~90代。毎日5人ずつ来所し、併設するカフェのスタッフとして働く。利用者は「メンバー」と呼ばれ(*1)、長く専業主婦をしていて、初めて外で働くという人もいる。

カフェではメンバー1人に福老のスタッフ1人が付き添い、作業を見守る。

要介護度は要支援1~要介護3で、認知症の進行度が高い人もいるが、進行度にあわせて、できることをしてもらっている。

例えば、カフェのいすに座って歌を口ずさみ、フロアをなごませたり、裏方でスタッフの手を借りながらテイクアウトのお弁当を袋に入れたりする、などだ。

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