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「松屋のコラボ店舗」が急拡大している納得理由 それぞれのこだわりカレー、いったい何が違うのか

東洋経済オンライン / 2024年7月10日 11時30分

新業態開発を積極的に進めており、2024年に生パスタ専門店「麦のトリコ」を出店している。

「複合店には需要がある」という気づき

このように自社開発ブランドが多いことは、複合店を増やしやすい背景にはなっているだろう。

しかしそもそも、なぜ独立しているブランドをわざわざドッキングさせなければならないのだろうか。

同社事業推進部で複合企画について担当している岩﨑孝文氏は次のように説明する。

「今はもう存在しないものの、とんかつチェーンと蕎麦チェーンのコラボが最初の複合店。重いものと軽いもので需要があるのでは、という着想から始めたが、その狙いが思いのほか当たり、想像以上に売り上げが伸びた」(松屋フーズ事業推進部・複合企画グループ チーフマネージャーの岩﨑孝文氏)

「複合店には需要がある」という気づきを得て、2020年、松屋とマイカリー食堂の複合店舗梶が谷店を出店、その後、松屋と松のやの複合店、浦和中町店を出店し、同社の複合店戦略が本格的にスタートする。
複合店舗の中でも勢いがあるのが、とんかつの業態だ。

松のやは前身「チキン亭」として2001年にスタート。店舗で一から手仕込みし、衣はサックリ、肉はふっくらジューシーに仕上げたとんかつが自慢だ。2016年頃から店舗網が拡大し始め、現在は単体124店、ほかの業態との複合店441店舗となっている。急速に複合化が進んでいるのだ。

「複合店にすることで、2倍とまでいかないが売り上げに貢献できるのは間違いない。また、複合店の店舗数が増えたことによって、松のやの看板が以前より認知されてきていると感じている。複合店の付加価値とは、それぞれが専門店であること。相乗効果でブランド力アップにつながっているのではないか。つまり2つの専門店の味が1つの店舗で味わえる、ということだ」(岩﨑氏)

確かに、筆者も「松屋」「松のや」が並んでいるのを見て、初めて松のやというブランドを認識した。松のやの看板だけでは「ご当地チェーン」のようにも見えてしまうのだ。

業績については、松のやをマイカリー食堂との併設に改装することにより、既存の1.8倍になった実績があるそうだ。

また全国に10店舗広がっている、3業態の複合店については、コア層の30〜40代男性に加え、ファミリー層が増える、客単価が上がるという傾向もあるという。

いいことずくめの複合店だが、課題もある。オペレーションの問題だ。それぞれ専門店なので、仕込みに手間もかかるし、専用の厨房スペースも必要になる。さらにどのブランドも2週ごとのペースで新メニューを発売するので、オペレーションが複雑になる。

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