環境活動家グレタ氏と支持層が虎視眈眈と待つ機 反対派はいつまで「冷笑」を続けられるのか
東洋経済オンライン / 2024年7月11日 13時20分
そして、彼女の活動はほどなくして世界の知るところとなる。2019年、飛行機を使わずに、太陽光パネルを動力源とするヨットでニューヨークに渡るデモンストレーションを行う。そして、上述の国連気候変動サミット演説が実行されるのである。
このヨット横断と国連演説が決め手となり、彼女の名は世界にとどろくことになる。気候変動問題に対し、急進的な解決をすべきであるという立場をとる人々から、世代・国籍を問わず支持される、若きリーダーとなるのである。
世界の大多数は冷笑している現実
だが。恐らくは、これを読まれている方の中で、グレタさんの主張や方法に賛成している人は、そう多くないのではないか。彼女の抱える問題は決して少なくないし、いずれも深刻なものだ。
結局、グレタさん自身が石油資源に頼って生きているという矛盾、問題を叫ぶだけでソリューションを提示していないこと、気候変動が果たしてどれだけ私たちの未来を崩壊させるのかというエビデンスの不足、ときに暴力的な手段までもを採用することの妥当性、等々。
批判は決して日本だけで起こっているわけではない。グレタさんは世界中から批判を浴び、冷笑を受ける対象となっている。むしろ世界の大多数は、彼女のことを非常に冷めた目で見ているといってよい。
だからこそなのか、彼女は気候変動に心を痛めるひとたちに、熱狂的に支持されている。そして、そんな熱狂的支持の様子を見るにつけても、若きアイコンへの盲目的な信奉だとして、反対派の声もまた強まるのである。
ここに、現代社会を動かす、ダイナミズム(動作原理)を見て取ることができる。
環境問題に関する世界秩序への挑戦
グレタさんは、いま、可能性としては限りなく小さいのかもしれないが、環境問題に関する世界の秩序を、根底から破壊しようとしている。
グレタさんが秘める、そのゲームチェンジの可能性に、気候変動問題の同志たちは賭けているのである。何かの拍子に、グレタさんの言動が、世界の国家を動かす可能性がある。そんな期待を胸に、グレタさんという存在から、世界秩序の破壊の一点突破を狙っているのである。
反対派もまた、このダイナミズムの中にある。よもや起こるまいとは思いながらも、グレタさんが今後勢力を伸ばしたら、ゲームチェンジが起こってしまう可能性もある。そうなれば、世界の国々が、大企業が、科学者・技術者たちが構築してきた気候変動対策への漸進的なロードマップが、すべてご破算になってしまう。そんなことはあってはならないと、現代の秩序の中で、気候変動のために活動してきた人々こそが、彼女を否定する。
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