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子どもの「やばい」「えぐい」の多用で失われるもの 「言い換える力」強化のため親にできることとは

東洋経済オンライン / 2024年7月12日 16時30分

「やばい」や「えぐい」は複数の意味を持つ言葉として、子どもたちの間でも多用されています(写真:MAPS / PIXTA)

つまずいて転びそうになって「やばい!」。夕飯に好物が出て「やばい!」。会話を「やばい」「マジ」「かわいい」「うざい」などですませることは、大人でも珍しくない。

しかし「未来を担う子どもたちに豊かな言葉の世界を教えてやれないのはとても残念なことだ」と明治大学教授の齋藤孝氏は話す。語彙力が人生にもたらしてくれるのはどのようなものなのか、『これからの時代に身につけたい国語力』の著者・齋藤氏に聞いた。

正反対のことでも全部「やばい」

「やばい」には、実にさまざまな意味が含まれます。危険な目にあうなどの困った場面でも、すごくうれしい場面でも使われます。

【画像】「お父さんやばい!」の一言には、全く違う2つの意味がある。あなたは言い換えられる?

いい意味や悪い意味、気分の上がり下がり、いわば正反対のことを「やばい」の一言ですませているわけです。

こういう言葉はほかにもたくさんあって、「マジ」もそうですね。

「真面目にそう言っている(考えている)の!?」というところから生まれたのだと思いますが、「驚いた」「正しい」「必死に取り組む」など、いろいろな意味で使われます。

あるいは「サイズが小さいもの」「気持ちをなごませるもの」「守ってあげたいかれんさ」「見た目が変わっているもの」は、なんでも「かわいい」とひとくくりにされたりします。

こういう言葉を、友人同士などで使うのは楽しいことでもあって、否定するつもりはありません。

ただ、今ぐんぐん知識を吸収している子どもたち、心がどんどん成長している子どもたちには、もう少し言葉の引き出しを持ってほしい。語彙力を持つことは、人生のさまざまな場面で有利に働くはずだからです。

教育の現場でも社会生活でも、今はコミュニケーション能力が強く求められます。ものごとの意味を説明するときに適切な言葉が使える、あるいは自分の感情を正しく伝えられるのは、とても重要な能力です。

どんな言葉を口にするのかによって、伝わる意味や深さは変わります。何かを見て「これはやばいねえ」の一言ですませたのでは、ひどいものを見ているのか素晴らしいものを見ているのかもわからない。語彙力がないと、繊細な意味を伝えられないのです。

貧しい語彙力しかないのは、たとえてみれば3色のクレヨンで絵を描こうとするようなこと。手持ちの色が少なければ、微妙な部分が表現できません。

12色のクレヨンで描いている人にはかなわないし、24色のクレヨンで描いている人にはもっとかなわない。仕上がった絵の出来だって、当然ながら見劣りするでしょう。

言葉は「考えを深めるツール」

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