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天然木の家に「今はひとり」42歳起業家の暮らし 「人が好き」でも家族・夫婦の枠組みは息苦しい

東洋経済オンライン / 2024年7月13日 11時0分

そういった会社を経営する糟谷さんの母が、起業と時を同じくして24時間の看護が必要となる難病を発病してしまったことは、偶然とはいえ、あまりに厳しい試練だ。

身近な人が病気になると、そのケアのために金銭や時間、そして心身にも負担がかかる。しかしケアの専門家だからこそ、また家族が難病を抱えているからこそ、家族や夫婦というつながりが、いかに重要かということも、実感しているのではないだろうか。

「僕は、家族や夫婦や恋人など人間関係の枠組みに縛られることが苦手で、本当にそれが必要なのかと疑ってすらいます。

仕事で接する患者さんやご家族には、家族という枠組みにとらわれて『家族だからやってくれるはずだ』とか『家族だから私がやらなくては』と、こじれたり、抱え込んで苦しんだりしている人がたくさんいます。

加えてカフェでお客さんが話している悩みは、夫婦や恋人のことが多い。『夫婦だから許せない』とか『恋人のはずなのにひどい』とか、関係性の枠からズレることに不満や不安を感じる。

僕は日頃から、人は枠組みで関係性を縛るからこそ、問題や苦しみが生まれるのではないかと疑問を持っています。だからみんなが関係性の枠組みから解放され、個々のやりたいことに忠実になって、自分らしく暮らせばいいのに、と思うんです」

人々の幸せを少し離れた場所から眺めたい

確かに、糟谷さんが取り組む看護事業にしても、カフェ事業にしても、家族などの強い人間関係の周辺で「他人同士がつながれる仕組み」をつくることをひとつの目的としているように見える。

それは裏を返せば広く緩やかなつながりをつくることで、家族や夫婦、恋人のような、強い結びつきを解いてゆく試みなのかもしれない。

「そうかもしれません。僕は密な関係でお互いを縛り合うよりも、皆がワイワイと楽しそうにしている場をつくって、それをちょっと離れたところから見ているのが好きです。

個人的にも、ひとりで暮らして、距離感を保ちつつ人間関係を築くのが性に合っています。だからこそ、この社会に関係維持のために嘘をついたりしなくてもいい、流動的で風通しの良い人間関係であってほしいと願い、それが実践される場をつくりたいと思うのかもしれません。

僕は自由な人間関係のなかで助け合い、個々が不安を感じずに生きられるような社会の構築を目指して、仕事をしています。少なくとも医療や看護に関しては、抱え込んで苦しむ人を減らしたい。

もし自身や家族の病で孤立し、苦しんでいる人がいたら、行政の支援なども活用して、頼れるところは人に頼ってほしいですね。僕もそうしていますから」

【画像22枚】心地よい雰囲気が漂う"ログハウス"でのひとり暮らし

本連載では、ひとり暮らしの様子について取材・撮影にご協力いただける方を募集しています(首都圏近郊に限ります。また仮名での掲載、顔写真撮影なしでも可能で、プライバシーには配慮いたします)。ご協力いただける方はこちらのフォームからご応募ください。

蜂谷 智子:ライター・編集者 編集プロダクションASUAMU主宰

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