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韓国で23年興収1位「ソウルの春」が描く軍事反乱 実在の事件に一部フィクションを交えて映画化

東洋経済オンライン / 2024年7月15日 14時0分

このクーデターについての回顧録や評伝、記事などは多数残存しているが、実際に反乱軍の内部がどのような様子だったのか、そして鎮圧軍の具体的な動きなどについても、正確なところはわかっていない。そんな韓国の現代史の運命を変えたあの日を、果たして自分が描くことができるのだろうか、という思いにかられたという。

鎮圧軍と反乱軍の正義がぶつかり合う

一度はオファーを断ったというキム監督だが、「当時を知らない世代の観客をも、事件が起きたあの日、あの場所へと誘う」ことができるのならば、この事件を描けるのではないかと思い立つ。

そのため、事件の大枠は、歴史的事実に沿って構成するが、登場人物については架空の人物として構成し(ただし主人公のモデルがチョン・ドゥファン保安司令官、チャン・テワン首都警備司令官、といった具合に、それぞれのキャラクターのモデルとなった実在の人物は特定しやすいようになっている)、その性格や細部については創作を加える方針を定めた。それによって「反乱軍」側と、「鎮圧軍」側のキャラクターが掲げるそれぞれの正義が明確に浮かび上がり、それをぶつけあう対立構造が鮮明になった。

だがこの世界に存在するのは主人公たちのような信念を持つ者ばかりではない。たとえば「鎮圧軍」の中にも足を引っ張るように保身に走る高官たちが多数存在する。

気位ばかり高く、いざという時に決断する覚悟もなく、及び腰な彼らに翻弄され、状況がどんどんと悪化していく――。そうした“上司に恵まれない”組織の悲哀、失敗の本質のようなものも本作ではしっかりと描かれている。

時代の空気感を再現するために、現時点で現存する資料はすべて集めるなど、徹底的な時代考証を行った。さらにスタッフには、撮影のイ・モケ、照明のイ・ソンファン、美術のチャン・グニョン、編集のキム・サンボンら韓国映画界屈指の実力派が参加。

リアリズムを徹底的に追求した映像で、1979年当時の空気感を現代に甦らせた。そうしたいくつも要素が絶妙に組み合わさった映像、物語は非常に没入感が高いものとなり、仮に韓国の歴史に詳しくはなかったとしても、物語に入り込みやすくなった。

またキャストも、ダブル主演を務めるファン・ジョンミン、チョン・ウソンをはじめ、パク・ヘジュン、キム・ソンギュンなど、韓国映画界を代表する主役級のスターがそろい踏みとなった。

韓国を代表するトップ俳優のファン・ジョンミン

陸軍の秘密組織“ハナ会”を率いて、軍事クーデターを起こすチョン・ドゥグァンを演じるのは、『新しき世界』『国際市場で逢いましょう』『ベテラン』のファン・ジョンミン。『パラサイト 半地下の家族』『ベイビー・ブローカー』のソン・ガンホ、『お嬢さん』『神と共に』のハ・ジョンウらと並び、「1億俳優」(主演映画の累計観客動員数が1億人を突破した俳優)と呼ばれている名実ともに韓国を代表するトップスターである。

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