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「子どもは無料」で簡単につられる大人たちの盲点 企業側の仕掛けには「わかったうえで」乗りたい

東洋経済オンライン / 2024年7月16日 9時0分

パ・リーグ陣も熱心だ。ロッテマリーンズ「ジュニア会員」は平日公式戦の一部指定席が無料(除外試合あり)。日本ハムファイターズは小学生以下のメンバーに5試合分の指定席招待券が、西武ライオンズもベルーナドームでの一軍公式戦の観戦が全試合無料(当日残席がある場合。試合によって内野・外野指定席等の席種が異なる)と、大盤振る舞いこのうえない(※2024年会員の場合)。

チームごとにサービスに差異はあるが、プロ野球の試合が「無料」で見られるというのは魅力的だろう。「全試合無料」なんて魅力的なワードが目に入れば心は動く。むろん年会費はかかるが、数千円なら1~2試合行けば元が取れるというもの。近郊テーマパークの入場料よりずっと安あがりですむのだ。

球団にとって”損なし"のカラクリ

しかし、こちらもそんなにうまい話ばかりではない。からくりはおわかりだろう。自宅がスタジアムから徒歩5分という環境でない限り、たいていは大人が子どもを連れてくる。大人は子と違っていつでも無料というわけにはいかないので、当然チケット代が別にかかる。

スタジアムに来れば飲食もするし、お土産にグッズを買うかもしれない。特に飲食代は馬鹿にならない。子連れではアルコールは飲まないかもしれないが、スタジアムで販売する生ビールはどこよりも高いのだ。東京ドームでは、なんと1杯900円もする。

ほか関東の球場では、横浜スタジアム800円、マリンスタジアム950~850円、西武ベルーナドーム800円などと、お代わりを頼むたびに千円札が羽が生えたように飛んでいくのだ。

子どものチケット代分など、すぐに追い抜いてしまうだろう。ついでにお弁当だって1000円近くするので、観戦人数が多ければ多いほど、財布は軽くなる仕組みだ。

「子どもの観戦無料」でスタジアムに家族を呼び寄せれば、それ以上のお金を落としてくれる。まさに「トクすると見せて、余計なお金を使わせる」うまいからくりではないか。

今の消費行動は子ども時代に刷り込まれたもの?

プロ野球チームが子どもに大盤振る舞いするのは、親にお金を使わせるためだけではない。子ども時代になじんだ体験は、成長してからの消費行動にも影響を及ぼす。子どもの頃から球場に通っていれば、そのチームに親しみを感じるようになり、大人になってからも贔屓にしてくれる確率が高まるだろう。

その大人が親になり、また子どもを連れて通ってくれれば、延々とお金を落としてくれることになる。文字通り、長期投資というわけだ。それを考えれば、子どものチケット代を無料にすることくらい何でもない。

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