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「子どもは無料」で簡単につられる大人たちの盲点 企業側の仕掛けには「わかったうえで」乗りたい

東洋経済オンライン / 2024年7月16日 9時0分

ちなみに阪神タイガースは会員である親が子どもをキッズ会員にして「ファミリー申請」すれば、子ども分の公式戦チケットが10試合分まで無料で申し込めるとか。なるほど、こうして世代を超えた熱狂的な阪神ファンが生まれていくわけだ。

野球だけではない。子どもの頃に見ていたアニメやドラマの影響で、サッカーやテニスを始めた人もいただろう。テレビのヒーロー番組も同じで、子どもの頃に「仮面ライダー」を見てオートバイに興味を持ち、実際にライダーになった人も何割かいるはずだ。

子ども時代に触れたものが大人になってからの消費に結びつくと考えれば、リアルにしろバーチャルにしろ、企業が子どもに体験を提供するのは大事な種まきというわけだ。

現状維持バイアスからはなかなか抜け出せない

私たちは少なからず「現状維持バイアス」に従っている。何かを選択する際、これまでの習慣をなるべく変えない方向に動きやすい。現状を変えると、さらにベターな結果が生まれるかもしれないが、よからぬことが起きて損を被る可能性もあるからだ。

これまで不自由を感じていないのなら、変えることはリスクを増す行動と判断し、失敗したくない我々は現状維持のほうを選んでしまう。

自宅の電話がNTTだった人は、大人になって通信会社を決めるとき、まず候補にNTTドコモを考えるだろう。カレーのルウもマヨネーズも、実家で親が使っていた商品からまず手に取るものだ。自分がしている選択がニュートラルに検討した結果ではなく、子ども時代からなじんできた習慣であることは多い。

子どもの頃の記憶と体験とが、今につながっているのは当たり前だ。だからこそ、いかに子どものうちにファンになってもらうかを、いつでも企業は腐心している。まず自社のサービスを使ってもらうためには、子ども割引や家族割引が有効な武器になるのだ。

現状維持が間違いというわけではない。ただ、「昔から変えていないから」だけの理由だとすれば、もっとも賢明な選択とは言えないだろう。いつもとは別の道に逸れてみると、もっとお得なサービス、もっとリーズナブルな商品に出会える可能性もある。自分の机に目をやり、そこにあるアイテムをなぜ選んだのか、そのルーツを改めて考えてみるのも面白いのではないだろうか。

松崎 のり子:消費経済ジャーナリスト

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