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東芝の「鉄道自動運転」技術、実用化へ一歩前進 長野電鉄と実証実験、基本動作の検証が完了

東洋経済オンライン / 2024年7月16日 7時0分

東芝インフラシステムズが長野電鉄の一部区間で実施している自動運転システムの実証実験。夜間の支障物検知試験の様子(写真提供:東芝インフラシステムズ)

東芝が長野電鉄の一部区間で2021年度から実施している鉄道自動運転システムの実証実験が基本動作検証を完了したことが東洋経済の取材でわかった。同社の自動運転システムの開発状況については2021年10月18日付記事(地味でも年商1000億、東芝「鉄道ビジネス」の実力)でも触れているが、実用化に向け一歩前進した格好だ。

【写真】車両の前面に取り付けられたステレオカメラと「LiDAR」とは?

各社が実用化目指す「レベル2.5」

鉄道の運転の自動化レベルは、レベル1(運転士が発進、停止、加減速などの操作をすべて行う非自動運転)、レベル2(一部の操作が自動化され、運転士が出発時の安全確認、ドア操作、発車、緊急停止、緊急時の避難誘導を行い、列車間隔の確保や加減速、駅での停止はシステムが行う半自動運転)、レベル2.5(運転士以外の係員が先頭車両の運転台に乗務し、緊急停止操作や避難誘導を行う条件付き自動運転)、レベル3(運転士以外の係員が乗車し緊急時の避難誘導を行う条件付き自動運転、緊急停止はシステムが行う)、レベル4(完全に無人で運行する自動運転)に分類される。

レベル4はすでに「ゆりかもめ」などで実用化されており、決して難しい技術ではない。むしろネックとなるのはコスト面だ。ゆりかもめを例に取れば、全線が高架で建設されており踏切がなく、すべての駅にホームドアを設置しているため、軌道上に人や物が侵入するリスクが小さい。また、車両は自動列車運転装置(ATO)や自動列車制御装置(ATC)で制御されている。無人運転をするためにこれだけの設備を導入する必要があり、その金額は決して安いものではない。

そこで現段階では、運転士が不要となるレベル2.5やレベル3の自動運転の実現に各社が力を注ぐ。

レベル2.5の自動運転はJR九州が先行しており、実証実験を経て3月から香椎線で営業走行にこぎつけている。その技術は既存の自動列車停止装置(ATS-DK)をベースとしたもので、線路内に地上子と呼ばれる地上設備を追加設置することでその機能を強化し、ATC並みの運行安全性を確保している。

「地上子」追加設置不要のシステム

東芝グループの東芝インフラシステムズもレベル2.5に対応する自動運転システムの開発に力を入れる1社だ。同社の自動運転システムの売りは、線路内に地上子を追加設置する必要がないという点だ。追加設置といっても既存設備の性能次第では地上設備を抜本的に見直す必要がある。その点で東芝の自動運転システムは地上子の追加設置にかかる設備投資や維持管理費などのコストを削減できるというメリットがある。

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